「東京五輪、今の状況で開催すべきですか?」 多様な民族が集まるニューヨークで聞いてみた

2021年5月24日 12時00分

ニール・マクノートンさんは「開催はせめて来年に」と話した

 開幕まで2カ月を切った東京五輪・パラリンピック。新型コロナウイルス感染が収まらず、ワクチン接種状況も先進国最低レベルの中、世界中から選手団を集める巨大イベントを今の日本で開催すべきか。多様な民族の「るつぼ」、米ニューヨーク市の街角で聞いてみた。 (ニューヨーク・杉藤貴浩、写真も)
 5月の晴れた午前、中心部の公園で読書していた地元在住の元弁護士ニール・マクノートンさん(68)。この夏の東京五輪開催について尋ねると、「危なすぎる」と即答した。「五輪はいいアイデアだったが、今すべきことではなくなった。多くの人々が死んでしまう」。ニューヨーク市では総人口の40%に上るワクチン接種完了率が日本では5月上旬で1%程度なのを告げると、「日本はどうなっているんだ」と驚きの表情を浮かべた。

来年の北京冬季大会への影響も心配するアリス・チェンさん

◆「私なら東京に行かない」

 「私が選手なら東京には行かない。今の日本は人の命より(開催による)経済効果を大切にしているように見える」。中国人街のベンチで休憩していた香港出身の女性モージー・チェンさん(64)も中止を求めた。近くで信号待ちをしていた中国福建省出身の学生アリス・チェンさん(19)も「中止か延期すべきだ」ときっぱり。来年2月には母国で北京冬季大会が予定されるが「安全が確保できなければ、それも先送りされるだろう」と冷静に予測した。

◆「とにかく安全にとしか…」

 一方、賛成派は「五輪にあまり興味はないが、やればいいのでは」という消極的な声が多かった。

今夏の開催に賛成だが、日本のワクチン接種率を心配するシンシア・サンタナさん

 街頭に仮設されたコロナ検査所職員の白人女性ケイダさん(20)は「私たちは長い間コロナで閉じ込められてきたから」と正常化への一歩として五輪に期待。ただ、開催に向けた方策や注文を尋ねると「とにかく安全にとしか言えない」と言葉少な。人気洋服店の行列に並んでいたドミニカ出身のシンシア・サンタナさん(38)は「やった方がいい」としながら「私が選手なら、ワクチン接種率を30%くらいに上げてもらわないと行きたくないな」。
 南米コロンビアから来て4年になる男子学生セバスチャン・ビヤさんは「母国では大勢が密集する反政府デモが起きて感染が心配だけど、うーん、日本も1%か」と首をひねった。

五輪ファンだが今夏開催に反対のラジーブ・フェルナンドさん

 結局、話を聞いた10人のうち、今夏の開催に賛成が4人、反対も4人、どちらでもないという2人に分かれた。共通するのはワクチン効果で社会活動が戻りつつある米国の現状を歓迎しつつ、世界各地で猛威を振るう変異株などへの警戒心はなお強いということだ。
 インド総領事館に旅券関連の手続きに訪れたインド系米国人で感染症専門医ラジーブ・フェルナンドさんは、感染爆発が起きている母国へまもなく治療に旅立つという。「日本も五輪も大好きで、東京へ観戦に行くつもりだった」と話す一方、「コロナに弱い高齢者が多い日本で今、五輪を開くべきではない。十分なファンの支持がない状況で開催する大会に五輪精神があると言えるのだろうか」と疑問を呈した。

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