<新型コロナ>感染議員の氏名公表 「状況考え各自が判断すべき」 選挙直前に判明 鎌倉市議が語る

2021年5月26日 06時59分

感染を公表するかどうか悩んだと話す森市議=鎌倉市で

 鎌倉市の森功一市議(50)=自民=が本紙の取材に、四月にあった市議選の告示約二週間前に新型コロナウイルス感染が判明したことを明かした。当時、感染を公表することも考えたが、家族への影響などを考えて公表を控えたという。議員の氏名公表について「一律にルール化するのは難しい。そのときの状況や家族のことなどを考えて各自が判断すべきではないか」と話す。 (石原真樹)
 森さんは四月二日に三八・五度の発熱があり、PCR検査で陽性となった。せきは翌日には治まったが「インフルエンザとも違う、重くどんよりとした、経験したことのないだるさ」が五日ほど続いたという。発症の一週間前、へんとう炎で四〇度の発熱があったが、そのときは検査で陰性だった。その後に家族から感染したとみられる。
 市議選は十八日告示、二十五日投開票。「公人として公表すべきではないか」と自分のブログに書くことも考えたが、中学生の子どもがいて「学校で仲間外れにされたらと思うとできなかった」と振り返る。発症前、へんとう炎の療養中で他人と接しておらず、感染を広げる恐れがないと考えたことも、公表しないという判断を後押しした。
 ただ、選挙期間中に感染が判明するなど「選挙運動で不特定多数と接していたなら名前を出すべきかもしれない」とも話す。議員の感染は氏名を公表すべきだとする意見もあるが「感染の状況も家族の事情も違う。ルール化するのではなく、そのときの状況を総合的にみて、各議員が判断すべきではないか」と話す。
 他人に感染させる恐れのある期間は自宅療養した後、選挙戦は通常通り行った。感染について尋ねられれば答え、知っていそうな人に自ら明かしたという。差別されたことはなく、逆に「頑張って」と励まされたという。「飲み歩いたらしい」と事実ではないうわさも流れたが、選挙の得票数は前回と同数だった。
 心配していた子どもへの差別がなかったことから、取材に応じると決めた。今後は、コロナを経験した議員として、濃厚接触者や自宅療養者への買い物支援政策などに取り組むという。

◆公表原則ではない

 個人情報保護法に詳しい新潟大の鈴木正朝(まさとも)教授の話
 感染自体が悪ではないため、公人であっても実名公表が原則ではない。首長が感染した場合は入院により執務が滞るなど影響が大きく市民に知らせる必要があるが、地方議員は不特定多数と接するかや役職など、業務の重さをかんがみて、ケースごとに判断すべきだ。一方で民主制の観点から、国が自粛を求める多人数の会食をしたなどの事実があれば、選挙で候補者の資質を判断する材料になるため実名公表は当然だ。

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