筑波大、防衛省助成に応募 「軍事研究しない」方針は?

2020年3月2日 02時00分

防衛省の公募制度に応募して採択された筑波大=つくば市で

 軍事技術に応用可能な研究を助成する防衛省の「安全保障技術研究推進制度」に本年度、筑波大が応募して初めて採択された。研究者らの団体が「兵器などに利用される」と助成金の受け入れ中止を求めて署名活動などをしているが、筑波大は「軍事研究ではない」としている。 (宮本隆康)
 筑波大が応募した研究は次世代ハイテク素材のカーボンナノチューブを使い、衝撃に強い素材を開発する内容で、昨年十二月に採択された。五年間で最大二十億円の助成を受けられ、最も高額な大規模研究課題(Sタイプ)では、大学で初めて選ばれた。
 助成制度は二〇一五年度に始まったが、科学者が太平洋戦争に協力した反省を踏まえ、大学が軍事研究に関わることに批判が出ていた。筑波大は一九年、「軍事研究をしない」との基本方針を発表した。しかし、助成制度には「軍事研究の線引きは難しい」と応募を一律に禁止せず、学内の審査委員会で個別に判断するとしていた。
 筑波大によると、審査委は永田恭介学長や副学長ら学内の六人で構成。応募に当たって昨年十月に開き、基本方針の「人道に反しないこと」「研究者の自主性と自律性の尊重」「研究の公開性の担保」などの項目に沿って検討し、問題はないと判断したという。
 採択を受け、大学の応募に反対する研究者らの「軍学共同反対連絡会」(共同代表・池内了名古屋大名誉教授ら)は「防衛省が助成するのは、兵器や装備品に利用するためにほかならない」などと助成金の受け入れ中止を求める署名活動を始めた。
 また、筑波大の研究者を含む日本科学者会議の茨城支部や筑波大学分会など三団体も二月十三日、「軍事研究をしない基本方針に反する」と中止を求める声明を発表した。
 批判に対し、筑波大の研究担当の木越英夫副学長は「兵器や人の自由を奪う内容ではなく、広く民生利用される材料の基礎研究であり、軍事研究ではない」と話している。

◆大学の応募 減少傾向 「国大協会長校の採択に影響懸念」

 防衛省の「安全保障技術研究推進制度」に応募する大学の数は、減少傾向が続いている。
 外局の防衛装備庁によると、初年度の二〇一五年度は五十八校が応募した。批判もあったが、民生用にも使える基礎研究に限定し、成果も公開が原則とされたため、一定の数の大学が応募したとみられる。
 しかし、一六年度の応募は二十三校に半減。一七年三月には、科学者らでつくる日本学術会議が「政府による介入が著しく、問題が多い」との声明を出した。声明後、京都大などは制度に応募しない方針を表明した。
 一七年度、政府は予算を六億円から五年間で百十億円に急増させたが、応募する大学は増えなかった。一八年度には十二校に大幅減少し、一九年度は九件にまで落ち込んだ。
 軍学共同反対連絡会の事務局長の小寺隆幸・元京都橘大学教授によると、各大学では研究資金を欲しがる研究者が多い一方、反対意見も多いのが実情。日本学術会議の声明の影響は大きく、ほとんどの大学は応募に慎重という。
 今回の筑波大の助成受け入れについて、永田恭介学長が国立大学協会長を務めていることから、小寺事務局長は「会長校が率先して大規模軍事研究をするのは問題がある。大きな影響を与え、大学の応募を増やす恐れがある」と懸念している。 (宮本隆康)

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