またずさんな公文書管理…消費者庁、「ジャパンライフ」パブコメ廃棄していた 30年保存義務の重要文書

2021年5月28日 06時00分
 悪質なマルチ商法が問題視された「ジャパンライフ」を巡り、消費者庁が2013年に預託法の政令改正の際に行ったパブリックコメント(意見公募、パブコメ)への提出意見を廃棄していた。提出意見は、政令の制定に影響を与える重要な行政文書として、政府のガイドラインで30年保存が求められている。専門家は「極めて異例の事態だ」と批判する。(皆川剛、桐山純平)

◆行政文書ではないとして廃棄

 消費者庁は13年の政令改正で、事業者がいったん販売した物品を預かり、第三者に貸し出すことで配当を得られるとうたう預託商法の規制対象を拡大。ジャパンライフが扱っていた磁気治療器などを対象に追加した。改正の際に必要なパブコメには、31件の意見が寄せられた。
 パブコメへの意見は、原本を保存していつでも閲覧できるようにすることが行政手続法で義務付けられている。行政文書の管理に関するガイドラインで保存期間は「30年」となっており、消費者庁は13年当時から同様の運用をしていた。だが、同庁は原本を行政文書ではないとして廃棄し、賛成意見の件数などを記した概略のみ残していた。

◆担当相が不適切認め、経緯調査へ

 13日の衆院特別委で、「(文書廃棄は)適切ではなかったのではないか」という立憲民主党の川内博史氏の質問に対し、井上信治消費者行政担当相は不適切だったことを認めた。消費者庁の伊藤誠一公文書監理官は「(意見の原本ではなく)意見をまとめた資料を保存すればルールに沿ったものと考えていた」と釈明し、廃棄の経緯を調べる考えを示した。
 消費者庁によると、13年以降に提出意見のあった消費者庁のパブコメは22回あり、今回以外は全て原本か原本の記録を残しているという。原本の廃棄がこの1度のみだったことについて、消費者庁の担当者は「各課長ごとに文書の取り扱いを判断しており、当時の課長が廃棄を決めた」と本紙の取材に説明。行政文書として扱っていなかったため記録を残しておらず廃棄時期は「不明」としている。

◆「知らないはずない」政治的忖度あったか?

 消費者庁の対応について、国の公文書管理委員会の委員長代理を務めた三宅弘弁護士は「政令に影響を与えるパブコメが30年保存文書だということを役人が知らないはずはない。極めて異例で国会で責任を追及するべきだ」と批判する。
 ジャパンライフへの行政対応を巡っては、消費者庁は14年7月の庁内の会議で「本件の特異性」という文書を提示。「政治的背景による余波懸念」「外圧的に立入検査の真意を問われる」などの文言が記されており、政治への忖度そんたくで対応が後手になったことが疑われている。

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