「自民党は差別を温存したいのか」LGBT当事者ら怒り噴出…まさかの法案提出見送り

2021年5月28日 17時37分

差別禁止規定のある法律を求めて会見した松岡宗嗣さん(中)ら=5月、東京・霞が関の厚生労働省で

 与野党の実務者間で合意していたLGBTなど性的少数者に関する「理解増進」法案は28日、今国会への提出が見送りとなった。「差別は許されない」などの文言を巡り自民党内で反発が続出、党内では差別発言も相次ぎ、当事者らからは「傷つけられ損だ」「この間にも差別や困難に直面し命を落とす人がいる」と怒りや不満の声が高まっている。(奥野斐)

◆性的少数者65%「自死考えた」

 「そもそも理念法で、差別も禁止せず実効性が乏しいのになぜ反対なのか。差別発言を容認する姿勢といい、自民党は差別を温存したいのか」。自民党議員による「種の保存に背く」などの発言の撤回と謝罪を求めるオンライン署名を募る松岡宗嗣そうしさん(26)は憤る。
 埼玉県が昨秋、県民1万5000人を対象に実施した調査では、性的少数者の65・8%が「死ねたらと思った、自死の可能性を考えた」ことがあり、「生きる価値がないと感じた」人も60・3%と、割合は非当事者の2倍以上に上った。性的少数者の約6割がいじめや言葉の暴力を受けていた。
 松岡さんの当事者の友人も数年前、自死した。「目の前で深刻な差別的取り扱いやいじめが起きている」と早急な法整備を訴える。

◆保守派抵抗、5年前と変わらず

 自民党内に性的指向・性自認に関する特命委員会ができたのは2016年。理解増進法案は、その当時も保守派の抵抗を受け、党内手続きが進まなかった。
 しかし、性的指向による雇用差別を禁じる法律は80カ国以上にある一方、日本にはない。世論の高まりを受け、今回は自民側も野党と協議を続け、今月、やっと超党派議連で法案がまとまった。
 だが、再び保守派の抵抗にあった。党関係者は「今回は反対派の議員に個別に説明を尽くし、理解は5年前より確実に広がった」と自信を示していたが、結局、5年前と同じ状況になった。

◆「企業、自治体進んだのに」

 職場研修などを行う認定NPO法人「虹色ダイバーシティ」代表の村木真紀さん(46)は「この5年で企業や自治体のLGBT施策は進んだ一方、国の動きは周回遅れだ」と指摘。自民党議員から出た差別発言について「ヘイトスピーチで眠れなくなったという人もいる。法律もできず、傷つけられ損だ」。
 トランスジェンダーの遠藤まめたさん(34)はこう皮肉を込める。「議員の言動に失望した。まずは自民党内で理解増進をしてほしい」

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