ネットの危険性強調するだけじゃなく活用できる能力を 広がる「デジタル・シチズンシップ教育」 

2021年5月29日 19時53分
 国が進める「GIGA(ギガ)スクール構想」の一環で小中学生一人一人にタブレット端末の配備が始まり、学校でのデジタル活用が進む中、ITを積極的な社会参加の道具と捉え、よき使い手を目指す「デジタル・シチズンシップ教育」の考えが日本でも広がり始めた。
 「日本はこれまで、ネットがいかに危ないかを強調し、後ろ向きで抑制的な使い方ばかり教えてきた。GIGAスクールを進める上で、もう持たなくなっている」。坂本旬・法政大教授(情報学)は説明する。
 IT利用を巡る教育はこれまで、ネットいじめなどの「負の部分」に着目して危険性を説く「情報モラル教育」が主流だった。デジタル・シチズンシップ教育は、デジタルを創造的、批判的に活用する能力を子どもたち自身が考え、実践しながら身に付けてもらうのが狙いだ。2010年代半ば以降、欧米で本格的に広がり、経済協力開発機構(OECD)なども重要な施策として提言している。
 実践する自治体も増えてきた。大阪府吹田市は昨年、ICT教育の全体構想にデジタル・シチズンシップ教育の推進を盛り込んだ。米国の動画教材を翻訳し、国内での普及に取り組む国際大学GLOCOMの豊福晋平准教授と今度いまど珠美客員研究員らの講義と模擬授業を経て、本年度は市内全域で授業を展開する予定。市教育センターの福井将人所長代理は「デジタルの世界を公共の場と捉えて、情報社会のよき担い手となるためのスキルや知識を身に付け、行動できる子どもを育てたい」と語る。

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