コロナ禍で広がるテレワーク格差 在宅勤務求めた非正規、雇い止めも 「まさに階級社会」と訴え

2021年5月30日 06時00分
 非正規労働者にテレワークが認められない事例が後を絶たない。新型コロナウイルスの影響が長期化する中、政府は出勤7割減を目指すが、内閣府の調査では非正規のテレワーク経験は正規の半分以下。所得の少ない人ほどテレワークする割合が低いというデータもある。正規・非正規の雇用形態の違いによる所得格差が、「命の格差」につながりかねない構造をはらんでいる。(山田晃史)
 「正社員は一部在宅勤務をしているけれど、派遣先は非正規にテレワークを認めないようで、緊急事態宣言中も出社している」。労働組合の総合サポートユニオン(東京)に今月寄せられた女性派遣社員の相談からは、再延長となる宣言中でもテレワーク格差が根深く残る様子がうかがえる。
 政府系金融機関で働く40代の女性契約社員は「正社員は在宅を認められているが、非正規は原則、基礎疾患があるなど重症化リスクの高い人だけが対象」と説明し「待遇で差別され、死ぬ確率まで高くなる。まさに階級社会だ」と怒る。

テレワークが原則認められない状況を語る政府系金融機関の契約社員女性

 金融機関の広報は「雇用形態ではなく業務内容などで判断しており、非正規職員で在宅勤務しているケースはある」と説明した。
 同ユニオンには今年、非正規からテレワーク格差の相談が約80件あった。企業は認めない理由として、機密漏えいや備品紛失の恐れなどを理由に挙げることが多い。在宅勤務を求めたら雇い止めされた40代の女性派遣社員は「テレワーク差別でつらい目に遭っている非正規は多い。状況を是正したい」と、雇用の継続を求めて3月に派遣元と派遣先を提訴した。
 内閣府の昨年末の調査では、年収300万円未満でテレワークをしている人の割合は12%だったのに対し、年収1000万円以上は51%。雇用形態別の昨年6月調査でも、テレワーク経験があると回答したのが正規で42%、非正規で18%だった。非正規はもともと接客業などの現場業務が多いだけではなく、「非正規だからという理由でテレワークさせてもらえない人がいる」(内閣府担当者)という。
 厚生労働省は3月にテレワーク導入時の注意点をまとめた指針を出し、雇用形態で差別しないように促したが、連合など各地の労組への相談は今も続く。
 労働問題に詳しい竹村和也弁護士は「テレワーク可能な業務に就いていても非正規だけに認めないことは、不合理な待遇差として法律違反の可能性がある」と指摘し、「労組を通じ会社に是正させることが重要」と強調した。

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