守られぬ「同一労働同一賃金」 強制力なく企業任せ テレワーク格差

2021年5月30日 06時00分
 企業が正規、非正規といった雇用形態の違いを理由に従業員にテレワークをさせなかった場合、法律に抵触する可能性がある。4月から本格的に始まった「同一労働同一賃金」のルールで、不合理な待遇差は認められないからだ。ただ判例が乏しい現状では対応が「企業任せ」になりがちで、ルールを無視するかのような事例も出ている。(山田晃史)
 同一労働同一賃金は賃金だけのルールではなく、テレワークなどの勤務形態、慶弔休暇の取得、休憩室や更衣室の利用といった福利厚生まで幅広い分野を含む。厚生労働省は3月にテレワークを導入する企業に向けた指針を出し「雇用形態の違いのみを理由としてテレワーク対象者から除外することのないように留意する必要がある」と明記したが、強制力はない。
 労働組合の総合サポートユニオンに寄せられた相談事例をみると「正社員はほとんど(毎日)テレワークだが、パートは週1日」といった明らかな格差も。派遣労働者が企業側から言われたテレワークを認めない理由には、「パソコンをなくした場合に責任が取れない」など首をかしげざるを得ない内容があった。
 相談者の1人の女性は、在宅勤務を求めたら雇い止めをした会社の対応に納得ができず、雇用継続を求め提訴している。同一労働同一賃金関連ではこれまで、非正規の相次ぐ提訴を受けた最高裁判決が出て、手当支給などで格差是正の動きも一部では出ているが、テレワーク関連は乏しい。
 非正規は立場が弱く、多くは声も上げられないのが実態だ。日本労働弁護団の嶋崎量弁護士は「裁判で闘えるのはごく一部の人。格差是正に実効性のある法律をつくるべきだ」と強調し、テレワークについても「まずは労使で是正に向けて取り組むことが大切で、企業側は待遇差の理由をしっかり説明する義務がある」と話した。

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