[四つ葉のひとりごと] 名古屋市中村区 木村昌資(51)

2021年5月30日 07時45分

◆わたしの絵本

イラスト・まここっと

◆300文字小説 川又千秋監修

[月] 岐阜県関市・パート・58歳 池村恵美

 空に浮かぶ月、それはさまざまな表情を見せてくれる。
 夜空に金貨のようなまばゆい光を放ち、見る者の心を奪うかと思えば、恥じらうかのように欠けていく。
 時には、白昼、厳粛なまなざしを私たちに向けている。
 そんな月は、人がかつて、わが世の春を月に重ね合わせたことを…空を仰ぎ、まだ見ぬ故郷を思ったことを…知っているだろうか。
 そして、そんな人の仲間が月までやって来た時は、少々面食らったかもしれない。
 古今東西、人間の歩みを見守り続けてきた月。
 だから、その豊かな表情の裏には、悠久の時が流れている。
 そう考えると、月はまた違って見えてくる。
 今夜目にする月は、一体どんな顔をしているだろうか。

<評> 大勢が連れだって、わいわい出歩くわけにいかない昨今、一人静かに空を眺めるお月見がひそかなブームになっているとか。遥(はる)かな昔から人間の良き対面相手…今夜は何を語りかけてくれるでしょう。

[魔法の砂時計] 岐阜県中津川市・会社員・51歳 早川政敏

 話し始めるとつい長くなるのが、私の悪い癖だ。
 ある日、妻から「これ使ったら?」と砂時計を渡された。
 「魔法の砂時計よ。どんなにくどい話でも、砂が落ちきるまでの一分間にまとまるの」
 試したところ、娘への小言も一分で終わった。仕事の不満を妻に愚痴るのも一分。家庭が明るくなった。
 味を占めた私は、この砂時計を他人に使ってみた。
 正面にトンと置くだけで、隣家の人のお喋(しゃべ)りも、職場の上司の訓示も一分で終わり、ストレスから解放された。
 妻に感謝を伝えると「え? 他人に使ったの! あれって百均の砂時計で魔法なんてないのよ」と言う。
 「でも、みんな、一分で口をつぐんだよ」
 「普通そうなるでしょ」
 妻はあきれ顔。

<評> 始まったら止まらない長広舌は、聞かされる方にとっては大迷惑。魔法の砂時計が手元にない場合、とりあえず内容を整理整頓してもらい、うまく300文字小説にまとまったら、こちらへ応募願います。


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