<民主主義のあした>パブリックコメント、目立つ政府の恣意的運用 導入20年超 法案作成で実施の義務なし 

2021年5月31日 06時00分
 行政運営の公正性や透明性を確保しようと国民の意見を募る「パブリックコメント」を、国が導入してから20年以上がたつ。政府が国民の意見を政策に反映し、民主主義を補完するための重要な制度。実際に声が生かされ、政府案が修正されたこともあるが、政府の方針に反対が多い政策で実施されないなど、恣意しい的な運用も目立つ。

◆入管法改正案、デジタル法、安保法、「共謀罪」も

 政府のパブコメは、政令や省令などを定める際に原則として実施が義務付けられている。法案のパブコメ実施は、政府の判断次第。菅政権では、今月12日に成立したデジタル改革関連六法のほか、外国人収容と送還のルールを見直すためとして提出したものの今国会成立を断念した入管難民法改正案で、法案のパブコメが実施されていない。
 第2次安倍政権では、2013年成立の特定秘密保護法でパブコメが行われ、成立後も運用基準案などを対象に実施された。その際に「国民の知る権利」が侵害されるとの批判が相次いだが、こうした懸念を払拭ふっしょくする修正はなかった。
 15年成立の安全保障関連法では、法案や関連する政省令のパブコメはなし。17年に成立した「共謀罪」の趣旨を含む改正組織犯罪処罰法も、パブコメはなかった。地方自治体では議会の議決を経る条例でもパブコメが行われている。
 この制度に詳しい学習院大の常岡孝好教授(行政法)は「国でも法案を作る段階で、さまざまな国民の意見を反映する仕組みとして義務化してはどうか」と話し、法案作成段階のパブコメ実施を促す。(中根政人)

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