テレワーク中でも気軽に会話 面談ツールや仮想オフィスに注目集まる

2021年5月31日 06時00分
 新型コロナウイルス禍でテレワークが推奨される中、実際のオフィスで「ちょっといいですか」と声を掛けていたような会話を遠隔でも行ったり、上司との効果的な面談を助けたりするツールが注目を集めている。コロナ禍前の環境には完全に戻らないといわれる今後、社員同士のコミュニケーションを円滑に進めるためのヒントになりそうだ。(神谷円香)

NeWorkで話題の輪に入った人たちがビデオ通話をする様子=NTTコミュニケーションズ提供

 「リアルより気軽に話し掛けられる、緩く集まる場所」。NTTコミュニケーションズ(東京)が昨年8月から無料提供するオンラインワークスペース「NeWork(ニュワーク)」について、大野智史担当課長は説明する。
 誰と誰が何を話しているか、他の人の会話が画面を見て分かるようにした。ビデオ通話の人は話題を書いた円の中に表示され、加わりたい人は入り、自分の仕事をしながらの「ちょっと聞き耳」もできる。話し掛けないでほしい時は設定を変えられる。

面談の満足度なども分析できるKAKEAIの説明をする本田英貴社長=東京都港区で

 同社は今、8割以上の社員がテレワーク。ニュワークは気軽な社内コミュニケーションで用い、外部との打ち合わせなどには他のシステムと使い分ける。また1対1で話したい時に一部で導入したのが、システム開発ベンチャー「KAKEAI」のサービスだ。
 1対1で「掛け合う」から名づけ、部下にうまく助言できなかった本田英貴社長(42)の苦い経験から開発。面談を設定する際、ただ話を聞いてほしいだけなのか、具体的な助言がほしいのか、目的を入力する。内容も仕事の相談か、人間関係の悩みなのかなどを事前に書き込む。他の人が同様の相談で示した助言も表示され、望ましい対応のヒントも得られる。
 「ただ向き合って『何でも話して』だけではうまくいかない」と痛感する本田社長は「仕組みがあることで違う」。当初はリアルな面談での活用を想定したが、昨年2月のリリースがコロナ禍に重なり、ビデオ通話機能を付けリモートでの対応も可能にすると問い合わせが相次ぎ、今はテレワークを導入した大手企業など約100社が使っている。

◆「島流し型」は引け目も 5年前から全員がテレワークの会社

オンラインで取材に応じる倉貫義人社長

 東京都渋谷区に会社登記するソフトウエア開発会社「ソニックガーデン」は、2016年にオフィスをなくし、約50人の社員全員が全国各地でテレワークで対応する。倉貫義人社長(47)は、チームのうち数人だけがテレワークの「島流し型」では「その人が引け目を感じ、コミュニケーションもうまくいかない」と指摘する。
 「職場のコミュニケーションには、時間を決めて会議室で行うフォーマルなものと、アンフォーマルな雑談や相談の2つがある」と倉貫さん。後者は、テレワークでは意識して行わないとなくなりがち。ただ、ツールを共有し、環境を整えれば可能になる。
 同社が開発、導入した仮想オフィス「Remotty」では業務中、数分ごとに各自の写真が撮影されて全員に共有され、机を突き合わせている感覚になる。チャットやビデオ通話でも頻繁にやりとりし、それが普通になると不便も不安もなくなるという。同社ではコロナ禍でも環境は変わらないが、唯一リアルで残した社員旅行ができないのはつらいところという。

仮想オフィス「Remotty」上にあるソニックガーデンのオフィスの様子=同社提供

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