47都道府県の「貯金」、わずか1年で36%減 「財調」本紙調査…コロナ禍で政府の支援追いつかず

2021年5月30日 21時00分
 47都道府県の貯金に当たる財政調整基金(財調)の2020年度末残高が1年前に比べ、計7000億円以上も減少していることが本紙の調査で分かった。休業要請に応じた事業者への協力金など、新型コロナウイルス対策費として大幅に取り崩したケースが多い。政府は、コロナ対策に使える地方創生臨時交付金を自治体に複数回配分するなど財政支援しているが、必要な額に追い付いていない。このまま財調の取り崩しが進めば災害など不測の事態への備えが手薄になるとして、自治体は危機感を強めている。(山口哲人)

◆取り崩された7141億円

 本紙が都道府県の財政担当者に、決算に基づく19年度末残高と、現時点の20年度末の残高見込みを聞いた。総額は約1兆9642億円から約1兆2501億円となり、約36%の約7141億円が取り崩されていた。
 財調が減少したのは27都府県で、額・率とも突出して大きいのが東京都。19年度末の9345億円が、20年度末にはほぼ4分の1の2511億円となる見通し。昨年4~5月と今年1~3月の2回にわたって発令された緊急事態宣言で、飲食店などへの協力金をはじめとする対策費がかさんだことが主な要因だ。

◆2割超減は石川、沖縄など8県

 このほか、財調が2割以上目減りしたのは石川(44%減)、沖縄(42%減)など8県に上った。コロナ対策関連の支出増や、コロナ禍を受けた景気悪化による税収減の補填ほてんなどを理由に挙げる自治体が多かった。
 一方、財調が増加した20道府県の多くは、地方債(借金)の追加発行や、別目的で積み立てた基金の統合などによって財調の減少を回避しただけで、実際の財政状況は見かけよりも厳しい。政府は地方創生臨時交付金で手当てするものの、全国知事会は2月末時点で6000億円が不足していると公表。21年度に入っても緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の対象区域が拡大しているため、自治体財政が一層圧迫される懸念は強まっている。

◆専門家「穴の開いたバケツに投入している状況」

 立命館大の平岡和久教授(地方財政論)は「国のコロナ対策が不十分で感染が広がり、自治体の支出は増え、経済は悪化している。穴の開いたバケツに(国の臨時交付金を)逐次投入するが、うまくいかないという状況ではないか」と指摘する。

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