五輪 県内の医療ボランティア 看護師、当初の3割に激減 県看護協会 コロナ対応で追加困難

2021年5月31日 07時14分

東京五輪のサッカー競技の会場になる県立カシマサッカースタジアム=鹿嶋市で

 東京五輪の開会式まで2カ月を切る中、サッカー競技の会場になる県立カシマサッカースタジアム(鹿嶋市)など県内で医療ボランティアとして活動する看護師が、大会延期前に参加表明していた人数の3割に激減していたことが県看護協会(水戸市)への取材で分かった。協会は新型コロナウイルス対応で追加派遣は難しいとし、大会組織委員会は「体制を見直し中」と説明する。 (保坂千裕)

■13人のみ

 協会によると、看護師の最初の募集は二〇一八年夏ごろ。組織委が日本看護協会(東京都)に依頼したのを受け、県看護協会がホームページなどで募集した。ボランティア業務の内容は、カシマスタジアムの観客の救護や、練習場三カ所での選手の救護。これに、看護師四十一人が参加を表明していた。
 一方、組織委が今年四月、日本看護協会に看護師五百人の確保を依頼していたことが明らかになり、県看護協会には、二十日に日本看護協会を通じ、十人以上を前提に「何人出すことができるか」との問い合わせがあった。
 県看護協会は、前回の募集で県内分の看護師が確保されたと認識していたため、組織委に理由を問い合わせた。組織委からは、四十一人のうち、参加の意思確認ができたのは十三人のみだったと説明を受けた。

■効率的に

 追加の看護師の確保について、県看護協会は、政府が高齢者のワクチン接種を七月末までに終えると発表した時期でもあったため、ボランティアとして参加できる人数が見通せないと判断。組織委からのアンケートには、参加可能見込みの人数の欄に棒線を引き、備考欄に「協力できる看護師の人数を回答するのは難しい」と記入して返答した。
 県看護協会は、参加意思を確認できなかった二十八人の辞退理由については把握していないとしている。コロナ対応で看護師が不足していることが背景にあるとみられ、協会の担当者は「市町村からも、ワクチン接種の看護師の派遣をお願いされている」と話す。
 組織委は本紙の取材に「医療体制の調整状況の詳細については回答を控える。効率的な体制に向け見直しを進める」と回答した。

■集まらず

 県内の看護職(保健師・助産師、看護師・准看護師)の無料職業紹介を担う「県ナースセンター」のサイトでは、ワクチン接種を担う看護師の自治体ごとの募集を掲載。二十五日時点では、行方市六人、潮来市が五人を募集している。県内でも特に医療体制が弱い鹿行地域で、なかなか集まらない現状が浮かぶ。
 ナースセンターは県が委託した上で、県看護協会が運営する。協会の担当者によると、ワクチン関連で求人数が最も多かったのは、大井川和彦知事が会見で、サイトを通じて応募を呼びかけた二十日。稲敷市が二十人、常陸太田市と常陸大宮市が各十人など、七市で六十五人の募集があった。鹿行地域以外の市の枠には応募があり、埋まった。

◆運営ボランティア 鹿嶋市募集は半数近く辞退

 医療面を担う看護師以外のボランティアの参加者数の状況はどうか。
 鹿嶋市が募集した市内で開くイベント運営のボランティアは、延期前の2019年6月時点では205人が参加する予定だったが、2月の調査で半数近くが辞退し、120人にまで減った。当時の森喜朗・組織委会長の女性蔑視発言があった同時期の調査だった。
 市によると、辞退した人に選択式で理由を聞くと、4割は「新型コロナに不安がある」を選んだ。森氏の発言をその他の欄に記述した人は2人だった。
 スタジアム周辺の道案内などを担う県募集の都市ボランティアは現在、750人が登録。県によると、「森発言」で2人が辞退して以降、不参加を申し出た人はいないとしている。

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