「うそとは認められない」 前千代田区長を不起訴に マンション優先購入問題で東京地検特捜部

2021年5月31日 21時15分

石川雅己・前千代田区長

 東京都千代田区の石川雅己前区長(80)が一般には販売されない「事業協力者住戸」と呼ばれるマンションを購入した問題で、東京地検特捜部は31日、区議会の百条委員会でうその証言をしたとして地方自治法違反容疑で刑事告発された石川氏を不起訴とした。

◆区議会での証言めぐり

 事業協力者住戸は、地権者らが無抽選で優先的に購入できるマンション1室。石川氏と妻、次男は地権者ではなかったにもかかわらず、2017年11月、三井不動産レジデンシャル(レジ社)が販売する区内のマンションの事業協力者住戸を共同購入した。
 石川氏は昨年6月の百条委で、購入時は事業協力者住戸と知らず、疑惑が報じられた同年3月、「知り合いを通じて(同社に)確認した」と証言。区議会は8月、証言は地方自治法百条が禁じる「虚偽の陳述」に当たり、知人の名前も正当な理由なく明かさなかったとして刑事告発した。
 特捜部は偽証容疑について「うそを言ったとは認められない」として嫌疑なしとし、証言拒否は嫌疑不十分とした。
 石川氏は今年2月、任期満了で退任。不起訴となった31日、本紙の取材に「申し上げることは何もありません」と答えた。
        ◇          ◇

◆癒着疑ったが…優先購入だけでは利益供与と認められず

 石川雅己前千代田区長は、地権者でもないのになぜ「事業協力者住戸」を買うことができたのか―。区議会は石川氏と不動産会社側の癒着を疑ったが、検察当局は仮に石川氏が優先的に購入できていたとしても、それだけでは利益供与とは認められないと判断。捜査を終結させた。
 発端は昨年3月の疑惑報道。マンション販売会社のレジ社から、1億円超の事業協力者住戸が割り当てられていたとの報道を受け、石川氏は記者団に事業協力者住戸とは知らずに購入したと説明した。
 石川氏とマンションの接点は、2015年11月にさかのぼる。妻と次男がモデルルームを見学し、購入に意欲を示した直後、レジ社は一般向けに販売予定だった1室を事業協力者住戸に変更した。
 疑惑を追及した区議会の百条委員会は、石川氏が同年4月、このマンションの規制緩和を許可していた点を問題視。レジ社親会社の三井不動産が手がけた再開発ビル「東京ミッドタウン日比谷」に隣接する区有地が同年9月、三井不動産役員が代表の一般社団法人に無償貸与されていたことからも癒着を疑った。
 石川氏は百条委で「私が便宜供与をしたことはない」と説明。レジ社の担当者も「販売戦略の一環にすぎない。『区長だから』というのは判断の念頭にない」と利益供与を否定した。
 特捜部は昨夏以降、複数の関係者から任意で事情を聴き、偽証容疑だけでなく背景事情も捜査してきた。
 ただ、ある検察幹部は「事業協力者住戸が必ず値上がりするとは限らない」と指摘。別の幹部は「区有地の無償貸与などとマンション購入に、何か関係があると認定するのは難しかったのだろう」と話した。 (小沢慧一、三宅千智)

関連キーワード

PR情報

主要ニュースの新着

記事一覧