【独自】崩落階段は会長自ら施工、社員の忠告無視…安く早くで品質二の次 八王子アパート施工の則武地所

2021年6月1日 06時00分

足場を設置し応急的な補強工事が施されたアパートの階段。注意して昇降するよう張り紙で呼び掛けている=八王子市で

 東京都八王子市のアパート外階段崩落事故で、施工した則武地所は主に都内と神奈川県内で不動産投資用のアパートを建築していた。業界内では同業他社に比べて建築単価が安く、投資者にとって利回りがいいことで知られていたが、資金繰りに苦しんでいた。同社の複数の関係者は「工事を早く仕上げて金を回そうとしていた。品質は二の次で、入居者のことを考えていなかった」とずさんな体質を指摘する。

◆傾く階段や廊下、隙間だらけ…

 同社の元社員によると、事故が起きたアパートが建てられた8年前、実質経営者の会長が現場を取り仕切り、「事故現場の外階段は会長自ら施工した」と証言する。このアパートの骨組み作業に携わった元社員は「周囲が会長に『防水や防腐加工をした方がいい』と何度も忠告したが、聞く耳を持たなかった。事故は起こるべくして起きた」と振り返る。
 同社の仕事を請け負った職人の男性も「階段や廊下が水平でなかったり、隙間が空いたりしていて、ずさんな施工が多かった。補修に向かわされる社員の話を聞いたのは1度ではない」と明かした。

◆安さの裏に…社員も続々去る

 民間信用調査会社などによると、同社は1室あたりの建築単価を一般的な同業他社と比べ20%以上低く設定しており、賃貸に回した際に10%以上の利回りがあるとうたっていた。
 「則武物件はまさに安かろう悪かろう」。同社をよく知る同業者の男性は指摘する。並行して複数の物件を着工し、社員に工期短縮を求めたといい、「やり方に疑問を持った社員は次々に辞めていった」と話す。

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