接種順位よりスピード重視 21日から職場・大学でもワクチン接種…課題は打ち手の確保

2021年6月2日 06時00分
 新型コロナウイルスのワクチン接種を巡り、政府は1日、職場や大学での「職域接種」を21日から始めると発表した。市区町村による「個別接種」と「集団接種」、自衛隊や都道府県などの「大規模接種」に続く新たなルートとなる。地域によっては若者が高齢者より先に打つ可能性もあるが、菅義偉首相が掲げる1日100万回接種に向け、スピードの加速化を重視する構えだ。(井上峻輔、村上一樹)
 河野太郎行政改革担当相は記者会見で「現役世代は平日昼は居住地にいない。通勤先・通学先の方が手軽に打てる。自治体は残った人を打てば良いのでスピードアップになる」と強調。地域住民への接種を念頭に「社会貢献型の取り組みも歓迎したい」と語った。
 職域接種は、国が供給する米モデルナ製のワクチンを使用し、医師などの担い手や会場は、企業・団体、大学が確保する。産業医による社内診療所での実施や外部委託を想定。企業単体だけでなく、中小企業が合同で行うことも認める。
 接種対象は各企業や大学が判断する。社員だけでなく家族や取引先の従業員、地域住民に接種を行うことも可能で、大学では学生への接種も行われる見通し。
 だが、接種を担う医療従事者は「自治体による高齢者接種に影響を与えないように自ら確保」(加藤勝信官房長官)というのが前提条件。打ち手を十分に確保できるかが課題で、どれだけの企業が21日から始められるか不透明だ。河野氏は「とりあえず手が挙がるのを待ちたい」と話す。
 さまざまなルートが設けられることで、政府が定めた接種の優先順位も曖昧になる。職域接種でも「集団内の高齢者を優先的に接種することを念頭に置いてほしい」(加藤氏)とするが、地域によっては高齢者や基礎疾患を持つ人が打ち終わる前に接種を受ける若者も出ることになる。
 自治体から接種券が届かないうちに職場や学校で接種を受ける事例も増えるとみられるが、政府は接種記録システムに後で登録することを認める。緊急事態宣言の延長が繰り返される中で現役世代にも早期接種を求める声が高まっており、首相は参院厚生労働委員会で「できることは全てやる方針で政府を挙げて取り組む」と強調した。

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