外国籍女性に生きる力 幸区拠点に食料支援「カラカサン」 西本さん「コロナ禍にもつながりを」

2021年6月2日 07時25分

カラカサンの西本さん(左手前)たちから食料を詰めた袋を受け取る女性=川崎区で

 新型コロナウイルスの流行が長期化する中、川崎市内に暮らす外国籍女性たちの暮らしも、困難を増している。幸区のカトリック鹿島田教会を拠点に、シングルマザーらの支援を続けてきた「カラカサン 移住女性のためのエンパワメントセンター」共同代表の西本マルドニアさん(65)は、「失業も増えてみんな落ち込んでいるけれど、今は集まってハグも握手もできない。直接力づけられないことが悔しい」と、コロナ禍でつながる難しさを口にする。 (安藤恭子)

西本マルドニアさん

 五月下旬、川崎区の教会。カラカサンが月二回、地域の女性たちを対象に行う食料支援のボランティアに、西本さんらメンバーやシスターが参加した。フードバンクの車からパンやスープ、野菜などが入った段ボールを受け取り、袋詰めして幸区と二カ所で約三十人に配った。
 訪れた川崎区のフィリピン国籍の女性(47)は「息子二人がたくさん食べるのでとても助かる」とほほ笑む。倉庫内でコンビニ商品を運搬するピッキングの仕事をしているが、荷物が重くて腰を痛めた。「本当は辞めたいけれど、コロナで他の仕事は見つからない。今はがんばらないと」
 「カラカサン」は、タガログ語で「力」を意味する言葉。団体は外国籍の母子のエンパワメント(生活する力をつける)を目的に、二〇〇二年に発足した。
 二十六歳でフィリピンから来日した西本さんも当事者の一人だ。かつて日本人の元夫からドメスティックバイオレンス(DV)を受けた。役所で相談に応じてもらえず、幼い息子を連れて家に戻った。「あの時、シェルターや相談できる場所がほしかった。つらい経験をしたから、日本で苦労する女性たちの気持ちが分かる」と活動理由を語る。
 カラカサンは食料支援のほか、就労や在留資格の相談に応じ、DVを受けた女性の離婚手続きや難民申請中の家族を支援してきた。ただ、コロナ禍で活動には課題がある。病院や行政への申請の際に必要な通訳を担う日本人ボランティアが不足。食料支援も一時中断し、寄付を集めてきた毎年のチャリティーイベントも中止となるなど、交流の機会が減っている。
 西本さんは弁当製造会社で働きながら、自転車に食べ物を積み、生活困窮家庭の訪問もしている。「日本で育った外国籍の子たちが日本で働き、活躍できる社会は、他の人も元気づけ、喜びが大きいはず。周りに困っている人がいれば、カラカサンのことを伝えてください」。問い合わせはカラカサン=電044(511)1562=へ。

関連キーワード

PR情報

神奈川の新着

記事一覧