<どうする相続>登記の名義変更 3年後に義務化 先送りはコスト負担増

2021年6月3日 06時54分

相続登記の相談に力を入れる司法書士会=東京都新宿区の東京司法書士会で

 土地や建物を相続したときに行う不動産の名義変更「相続登記」。現在は任意の手続きだが、所有者不明の土地が増えている問題を解消するため、2024年をめどに義務化されることになった。一方で、登記が必要な人からは「何から手を付ければいいのか」と戸惑いの声も聞かれる。登記の専門家である司法書士に制度変更に際しての注意点を聞いた。 (砂本紅年)
 東京司法書士会では、相続登記に関する問い合わせや相談が増えている。副会長の村上美和子さんは「義務化という強い響きから、不安を感じている人が多いようだ」と話す。
 村上さんによると、相続登記をするには原則、まず相続人の特定と、相続人全員による遺産分割協議が必要だ。ただ、何世代も相続登記がされていない不動産では、相続人が数十人に膨らむことも珍しくない。相続人の特定に必要な戸籍謄本集めに手間がかかる上、会ったこともない人、連絡がつかない人、認知症などで意思表示ができない人らとのやりとりには時間もコストもかかる。
 相続登記には、登録免許税(固定資産税評価額×0・4%)、司法書士に依頼した場合の報酬、戸籍謄本の取り寄せ費用などがかかり、「負担が割に合わない」と言う相談者もいる。しかし、同会常任理事の安藤剛史さんは「先送りすれば、子や孫が相続する時に複雑さや困難さ、コスト負担が増す」と指摘。未登記のままだと、買い手が現れても、すぐに売却するのが難しいデメリットも挙げる。
 親が別荘を持っていたことを知らず、死後数年たって数十万円の管理費の督促状が相続人に届いた事例もあった。「スムーズな相続登記のために、生前に自分の財産と負債をまとめ、誰に残すか遺言書を作ることが必要」と呼び掛ける。
 長期間登記していない土地や相続発生時の困り事がある場合は、各地の司法書士会に相談するといい。日本司法書士会連合会の全国統一の相談電話はフリーダイヤル(0120)137832(平日午前十時〜午後四時)。

◆規定は3年以内 違反には過料も

 現在、相続登記をするかどうかは相続人の判断に委ねられている。煩雑な手続きを敬遠し、手続きをしない人もいるため、名義が死亡者のままの「所有者不明土地」が増加。空き家が増えている原因や災害復旧の妨げにもなっている。
 解決に向けて四月、不動産登記法などの改正法が成立した。施行は約三年後で、相続人は不動産の取得を知ってから三年以内に登記しなければならないと規定。違反には十万円以下の過料を科す。
 遺産分割協議は十年の期限を設け、調わない場合は原則、民法上の相続割合で分ける。相続したくない土地を厳しい条件付きで国庫に納付できる新制度もできる。

◆困り事や体験談募集

 相続に関する困り事や体験談を募集します。メールseikatut@tokyo-np.co.jp、ファクス03(3595)6931。件名に「どうする相続」と記入を。

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