<社説>菅原氏議員辞職 政治の腐敗が目に余る

2021年6月4日 07時52分
 前経済産業相の菅原一秀衆院議員が議員辞職した。選挙区内で違法な寄付をしたとして、東京地検に近く略式起訴される見通しだ。離党はしたが、自民党の「政治とカネ」の問題は目に余る。
 政治家が選挙区の有権者に寄付することは公選法で禁止されており、五十万円以下の罰金が科される。議員の身分は失い、立候補もできなくなる定めだ。
 祭りや幼稚園行事…。地域で菅原氏側は祝儀や会費として現金を配ったという。検察が関係書類を分析したところ、支出には対価性がなく、寄付に当たると判断しているようだ。
 常態化していたなら悪質である。菅原氏の議員辞職は当然だ。公正な選挙を踏みにじったばかりか、順法精神の欠如をも感じる。
 そもそも菅原氏は昨年六月に起訴猶予処分となった。選挙区内で、代理による持参の形で香典や枕花として計三十万円を渡した。公選法違反の疑いが持たれたが、経産相を辞任し、それを考慮しての起訴猶予だったとされる。
 この判断に検察審査会(検審)は今年二月、異議を唱えた。「将来の選挙も念頭に置いたと考えるのが自然だ」などと指摘し、「起訴相当」と議決したのだ。
 検察は再捜査を余儀なくされた。その結果、前回の香典などを含めて二〇一八年以降で計数十万円を超え、起訴方針に転じたようだ。つまりは市民の良識が働き、菅原氏は議員辞職に追い込まれた。民意を反映する検審の仕組みが有効に機能したと評価したい。
 自民党内では「政治とカネ」の問題が相次いでいる。何しろ、この半年間で四人が議員辞職した。収賄罪に問われた議員もいる。「桜を見る会」の夕食会に絡み、安倍晋三前首相の元秘書も政治資金規正法違反で罰金刑を受けている。政治腐敗が極まる。
 二階俊博幹事長は「政治とカネの問題はきれいになっている」と述べたが、長期政権のおごりさえ感じる。「政治とカネ」への感度が鈍すぎる。かえって世論の反発は厳しさを増すに違いない。
 一九年の参院選広島選挙区では元法相の河井克行被告(公判中)と河井案里元参院議員による買収事件が起きた。河井陣営には自民党から一億五千万円もの資金が渡った。真相が不明なままでは国民は納得しない。検察はなお徹底捜査を続けてほしい。

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