人集めていいの? 感染対策は? 代々木公園PV中止で全国の五輪ライブサイト、自治体に困惑広がる

2021年6月4日 22時04分
 東京五輪期間中、東京都が代々木公園(渋谷区)で計画していたパブリックビューイング(PV)が突然、中止になった。コロナ禍での開催を批判され、ワクチン接種会場に変更された形だが、五輪中継で盛り上がるPVなどのライブサイトは他にも全国で計画されており、困惑が広がっている。(古川雅和)

井の頭公園の五輪ライブサイト会場イメージ(東京都の資料より)

 ◆パブリックビューイング、競技体験、飲食物にグッズ販売

 ライブサイトは、大勢の人が大画面を見ながら一緒に楽しむPVに、競技体験コーナーや飲食物、公式グッズの販売が加わったスペース。都は五輪・パラリンピックで代々木公園のほか、井の頭公園、震災被災地の岩手、宮城、福島、熊本県で計画している。このほかに、都立大南大沢キャンパス、日比谷公園、上野公園などでPVを予定。本年度予算で設営・運営のために37億円、会場内の感染症対策に8億円が計上されている。

井の頭公園の五輪ライブサイト会場イメージ(東京都の資料より)

 都に場所を貸す自治体の担当者からは、「県民から『PVで人をたくさん集めていいのか』と、不安の声が寄せられている」(岩手県)、「会場内の感染症対策をどうするのか、都に聞いているが、答えが返ってこない」(宮城県)などと動揺する声が上がっている。都には「中止の要請、要望」(福島県)をすることしかできないという。

五輪のパブリックビューイングが予定されている日比谷公園の小音楽堂=東京都千代田区で

 ◆大学はオンライン授業、合宿も自粛なのに…学生「本末転倒」

 PVが予定されている八王子市の都立大南大沢キャンパスでは現在、コロナ対策のため一部授業でオンライン講義が続き、合宿や宿泊を伴う活動も自粛が求められている。ツイッターでは学生らの「本末転倒だ」との批判が高まっている。
 他会場でも代々木公園のように中止しない理由は何か。都オリンピック・パラリンピック準備局に尋ねると、「被災地の復興状況の紹介や東京の文化を発信する重要な場になる。今現在、都として実施しようと準備を進めている」と答えた。
 そもそも都が代々木公園のライブサイトを中止したのは警察・消防職員などのワクチン接種会場にするためだが、ライブサイト用の工事は止まっていない。同準備局の担当者は「観客席の大型テントや控室になるコンテナは、接種会場でも活用できる」と説明。大型画面はパラリンピックのPVで使われる可能性があり、「公園内の養生などの設置作業を考えると、一緒に設置した方が効率的」と考えたという。

 ◆なぜ、わざわざ密つくる?

 物議を醸すライブサイトだが、会場はこれだけにとどまらない。2日の衆院文部科学委員会では、畑野君枝議員(共産)の質問を受けた組織委員会の布村幸彦副事務総長が、ライブサイトをつくる申請が2019年8月時点で257会場あったと答弁した。自治体と組織委が共同して開くのが19自治体30会場、地方自治体独自が145自治体227会場。布村氏は「コロナ対策のあり方も含め各自治体と調整している」として、現時点の計画数は明かさなかった。
 PVについては、政府の新型コロナ対策分科会の尾身茂会長も国会で「人流増が懸念される」と指摘している。落語家の立川談四楼さんは「なぜわざわざ密をつくるのか。それに猛暑、酷暑を忘れている。まったくの無駄だ」とばっさり。「代々木公園の中止も小手先のことでしかない。結局、決めたことはやるということなのだろう。もう、お上と庶民の間に信頼関係なんてない」とあきれている。

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