<食卓ものがたり>瓶からクリームソーダ スマック(三重県桑名市)

2021年6月5日 07時16分

スマックを生み出した鈴木武社長(左)と、専務の慎吾さん=三重県桑名市で

 三重県桑名市には、クリームソーダにヒントを得た「スマック」という飲み物がある。キャッチコピーは「クリームのささやき」。緑色の瓶から、乳白色の中身を口に入れると、バニラアイスとソーダを一緒にしたような甘さが広がる。シュワシュワッとほのかにきいた炭酸が爽やかだ。
 誕生は、半世紀以上前の一九六八年。海外からコカ・コーラなどが上陸し、日本で一大ブームを巻き起こしていた時代だ。「黒船」に対抗できる新しい商品を作らなくては−。スマック生みの親で、飲料メーカー「鈴木鉱泉」社長の鈴木武さん(87)が目を付けたのがクリームソーダ。当時、喫茶店でおしゃれなメニューとして人気を集めていた。「あれを瓶詰めにしよう」
 名古屋にあった香料メーカーなどと共同で開発。加糖脱脂練乳やリンゴ果汁、蜂蜜など、天然由来の材料で作ったのがこだわりだ。名前は、スキムミルク炭酸飲料の英語表記の頭文字から取った。東海地方を中心に売り出したところ、大ヒット。全国から声がかかり、七〇年代の最盛期には三十三道府県で製造販売された。
 当初の卸先は酒店、駄菓子屋など。飲んだ後の空き瓶は回収し、洗浄後に中身を詰め替えて販売していた。だが、時代は移り、スーパーなどが台頭すると、手軽な使い切りの瓶が主流に。同社も回収不要の瓶に変更したが、ペットボトル飲料の普及もあって徐々に衰退。桑名以外で今も製造しているのは、広島、佐賀の二社だけだ。
 一方で人気再燃の兆しもある。ここ数年、「懐かしい」という声が高まり、同市内ではスマックを扱うスーパーが増えているのだ。二〇一八年に専務に就いた長男の慎吾さん(58)は元銀行マン。「桑名の特産として広めたい」とスマックの将来性に期待を寄せる。
 文・写真 細川暁子

◆味わう

 同市内の「お勝」は、スマックを飲むことができる居酒屋だ=写真。お酒にもよく合い、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う時短営業中は出していないが、焼酎で割った「スマックサワー」は女性に人気のメニュー。副社長の小林淳一さん(41)によると、ジンなどで割ってもおいしいという。
 同市内では、スーパーなどで1本100円前後で買えるほか、ギフトショップ「共和ネット」運営の通販サイト「きょうわギフト」で購入可能。180ミリリットル30本セットで3888円(送料別)。(問)同社=電0594(22)1113。

関連キーワード

PR情報

ライフスタイルの新着

記事一覧