マクロン氏、アフリカ諸国との関係再構築に努力 来年のフランス大統領選へアピール

2021年6月5日 20時17分
【パリ=谷悠己】フランスのマクロン大統領が、植民地時代からつながりが深いアフリカ諸国との関係の再構築に努めている。仏語圏だけでなく英語圏の諸国も支援し、敬遠されてきた歴史の清算に取り組むことで、歴代大統領との違いを強調。来年の大統領選での再選を見据え、アピール材料としたい思惑もにじむ。

◆英語圏諸国を重視

 「若さと生産性を備えるアフリカは、集団的な支援があれば、再び世界的な気候や食糧の危機を克服する力になれる」
 マクロン氏は先月中旬、パリで開いたアフリカ首脳との経済復興会議でこう力説した。
 仏政権は従来、仏語圏諸国を中心にアフリカ外交を展開してきたが、今回は招待した29カ国の半数超が仏語を公用語としない国々。マクロン氏は先月末のアフリカ訪問でも英連邦のルワンダと旧英連邦の南アフリカで相次いで首脳会談し、英語圏諸国を重視する姿勢を打ち出した。

◆背景にルワンダ大虐殺

 こうした方針の背景にあるのが、ルワンダで1994年に起きた民族大虐殺。当時のミッテラン政権が仏語系の多数派民族フツ人を優遇し、英語系の少数民族ツチ人の虐殺を防げなかった過去があるからだ。
 ルワンダ訪問時に大虐殺での仏政権の責任を初めて認めたマクロン氏は、旧植民地国アルジェリアの独立戦争での仏軍の犯罪行為を総括したり、アフリカ諸国から略奪した美術品の返還も進めている。西欧批判で知られるカメルーンの哲学者アシル・ムベンベ氏も仏紙ルモンドの取材に「こうした政策は過去には見られなかった」と評価した。

5月27日、ルワンダの首都キガリで記帳するフランスのマクロン大統領=ロイター・共同

◆右派意識し公式謝罪は回避

 一方で、マクロン氏はルワンダやアルジェリアに対し公式の謝罪は回避した。大統領選を前に浸透を狙う右派支持層を意識したとみられている。
 フランスにとってアフリカは軍事拠点でもある。セネガルなど4カ国に3000人超の常駐軍を置くほかマリなど5カ国でのイスラム過激派掃討の「バルカン作戦」に5000人超を派兵中。仏兵の犠牲者が続発した同作戦には仏週刊誌ルポワンの1月の世論調査で51%が反対し、派兵後初めて賛成を上回った。マクロン氏は直後の演説で作戦撤退に言及しており、世論を意識しアフリカ戦略を修正している様子が浮かび上がる。

◆「植民地思想」と批判も

 アフリカ支援団体「SURVIE」のダビド・マルタン氏は「新たに進出している中国やロシアに既得権が脅かされているとの意識が強い一部の仏国民は、アフリカとの関係強化を望み、マクロン氏も選挙戦術で(そうした感情を)利用しているが、その考え自体が旧来型の植民地思想に基づいている」と批判している。

関連キーワード

PR情報

国際の新着

記事一覧