[間違い探し] 東京都練馬区 梶野迅(33)

2021年6月6日 07時59分

◆わたしの絵本

イラスト・まここっと

◆300文字小説 川又千秋監修


[ママのトッケン] 愛知県豊川市・主婦・71歳 平松みち子

 リンちゃんはママのお料理をいつも見ています。ママが何か食べました。
 「ママ、なにしたの?」
 「お味見よ」
 「リンもオアジミしたい」
 「もうママがしたから、いいの」
 しばらくすると、ママは巻き寿司(ずし)の端っこをポンと口に入れました。
 「またオアジミ?」
 「これは試食よ」と言って、反対の端っこをリンちゃんにくれました。
 パパの帰りを待っていると、ママがまたテーブルの上の何かを口に入れました。
 「これは、つまみ食いよ。ふふ」
 リンちゃんには、オアジミとシショクとツマミグイの区別がつきません。
 ママが言うには全部作った人、つまりママの「トッケン」なんだって。
 「パパ、お帰り! 今日は、おいしいママのトッケンりょうりだよ」

<評> ママは、いろいろなコトバを使ってオトナの行動を説明してくれますが、そこにはイイワケも交ざっていませんか? ただし、この場合「オイシイ」の一言で、どんなトッケンも許されてしまいます。

[宝物ハンター] 東京都板橋区・無職・36歳 牧野里子

 気候変動により、多くの島々が海に沈んだ。
 この列島も例外ではなかった。
 宝物ハンターたちは、かつて大都会だった海上に船を浮かべ、探索を続けていた。
 「お宝発見。引っ張り上げてくれ」
 潜水士からの連絡で、船上の相棒がクレーンを操作。やがて、犬の彫像が引き揚げられてきた。
 「昔、祖父から聞いたことがある。渋谷の忠犬ハチ公像に違いない…ならば、ここは伝説のスクランブル交差点の真上か」
 クレーンは動き続けており、最初のものとそっくりの彫像がもうひとつ、海面に姿を現した。
 「どっちが本物なんだ?」
 首をかしげる相棒。その時、老練の船長が声を上げた。
 「なあに、そいつはハチ公じゃない。狛犬(こまいぬ)というものじゃよ」

<評> 地球規模の環境変化を押しとどめることができなければ、いつか、こんな未来図が現実のものとなってしまうかも。私たちの文明を海底遺産に変えないため、本気で取り組むべき時代が来ています。


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