巨木伐採から搬出まで描く 江戸の絵巻物、林業遺産に 群馬県で初の選定

2021年6月8日 08時04分

絵図(複製品)の一部で、河川で木材を運ぶ様子が描かれた場面

 高崎市倉渕町の山林から巨木を伐採し、河川を利用して搬出するまでを描いた江戸時代の絵巻物「川浦山御用木御伐出(ごようぼぐおきりだし)絵図」が日本森林学会の林業遺産に認定された。群馬県内で選定されるのは初めて。同学会は「当時の林業の様子を伝える貴重な資料」と評価している。 (安永陽祐)
 絵巻物は幅三十センチ、長さ十メートルで、同町の旧家に伝わる。一八三四(天保五)年の江戸城再建の際に、幕府直轄林だった川浦山からケヤキを切り出す事業を描いている。伐採した巨木を角材に加工し、斜面を利用して搬出したり、河川をせき止めて水面を上昇させた後、堰(せき)を壊して木材を流したりする様子が表現されている。烏川に流された木材は、同市倉賀野町でいかだに組まれて、利根川を経て江戸まで運ばれた。
 絵巻物は一九九〇年に市の重要文化財に指定された。絵巻物は個人所有で、合併前の旧倉渕村時代に作られた複製品を市教委文化財保護課が保管している。
 長年、絵図を研究し、林業遺産の申請に携わった烏川流域森林組合の市川平治組合長は認定について「森とともに生きてきた先人の営みが後世に伝えられていくのはうれしい。絵図を多くの人に見てもらえるように市に求めたい」と話す。
 林業遺産は、二〇一三年度から林業の歴史を将来に記録する狙いで始まった。林業の歴史を伝える景観や施設、資料を認定しており、今回の絵図を含め、全国で計四十五件が選ばれている。
 栃木県ではこれまでに「足尾における治山事業による緑の復元」(日光市足尾地区)など二件が選定されている。

林業遺産に選ばれた絵図の複製品=いずれも高崎市役所で


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