姓は妻が変えるもの? 当たり前を問い直す、Z世代と考えたジェンダー平等

2021年6月8日 16時00分
 幼少期からインターネットがある環境で育った若者を指す「Z世代」。ジェンダー平等などの社会課題にも関心が高いというが、どんなことを考えているのか。TOKYO MX1の報道・情報番組「堀潤モーニングFLAG」(月-金午前7時)にコメンテーターとして出演する東京新聞整理部の大島晃平記者(29)を司会に、Z世代として同番組に出演する一般社団法人「NO YOUTH NO JAPAN」代表理事能條桃子のうじょうももこさん(23)、株式会社「POTETO Media」代表古井康介ふるいこうすけさん(26)が語り合った。

 Z世代 1990年代中盤以降に生まれ、ネットが当たり前の環境で育った世代。会員制交流サイト(SNS)での情報交換や発信にも積極的な人が多い。60年代中盤から80年ごろまでに生まれた世代を「ジェネレーションX(X世代)」と呼び、その後が「Y世代」とされる。Z世代の次は「α(アルファ)世代」といわれる。

 大島 日本のジェンダー平等の現状をどうみていますか。
 能條 (男女格差の度合いを示す)「ジェンダー・ギャップ指数」で日本は世界156カ国中、120位。企業や政治家の意思決定層に女性が少ないことに問題意識があります。「アファーマティブ・アクション(積極的差別是正措置)」や、女性が活躍できないようにしてしまう子育ての問題などを早く片付ける必要がある。

能條桃子さん 30歳未満の世代に政治や社会を分かりやすく伝える一般社団法人「NO YOUTH NO JAPAN」代表理事。東京五輪組織委員会の森喜朗前会長の女性蔑視発言の際は、再発防止などを求めるネット署名を行い、15万筆以上の賛同を集めた。

 古井 SNSで情報を発信する時、受け手側のことを意識している。年配男性が自分たちの論理で「これいいだろ!」と言っても、年代や性別が違うと全く刺さらない。

◆「間違ったことを言わない人はいない」

 大島 今はSNSもあり、発信する側に意図がなくても「男女差別では」という声も上がります。
 能條 間違ったことを言わない人はいない。知った時に「こういう考え方もある」「次は言わないようにしよう」と思える人が増えるといいなと思う。
 古井 ジェンダーに対する、特に男性の理解は遅れていると思う。先日、ある高校で男子生徒が「なんで(選挙候補者の一定比率を女性にする)クオータ制がいるの?ずるい」と言っていた。僕が「女性が意思決定の場にいない状態でできたルールで世の中が回っていくのは、アンフェアじゃない?」と話すと少しずつ分かってくれた。イメージできないことがたくさんあるんだろうな。

古井康介さん 株式会社「POTETO Media」代表。「政治を、わかりやすく」をテーマに政治専門の広告代理店として閣僚らの発信支援、行政などのPRサポートを行う。昨年は若者ら1000万人に向けネットで新型コロナ施策を届ける取り組みをした。

 大島 (その彼は)日本はもう男女平等だとの前提で話していると思うが、実際はそうではない。機会の平等がないから結果の平等もない。前提を疑うのは大事。

◆名字を変えてくれたら「いい旦那さん」?

 大島 ジェンダー問題では、選択的夫婦別姓が最近話題になっている。日本では結婚する女性の96%が男性の姓に変えている。私は4%の妻の姓に変えた男性。古井さんは結婚して姓を変えるのはアリですか?
 古井 名字が変わると「誰?」となるのが心配。ただ、同じ理由で相手の変えたくない気持ちも分かるから、互いに変えたくないなら話し合うしかない。
 能條 私は選択的夫婦別姓を早く実現してほしい。結婚で名字を変えたくないと思うし、もし相手が変えてくれたら「いい旦那さん見つけて良かったね」と言われると思う。子育てもそうだけど、女性がするのが基本で、してくれる男性は「いい旦那さん」。女性は言われない。それが当たり前なのが今の価値観。

◆価値観、どう変えていく

 大島 名字を変えた時、免許証や保険証、パスポートなどの変更手続きがすごく大変だった。この作業を多くの結婚した女性はしていると思ったら驚いたし、それが当たり前の社会はどうなんだろう。

大島晃平記者 東京新聞整理部記者。入社7年目。半田支局(愛知県)、東海本社(浜松市)勤務などを経て現所属。主に社会面、運動面、特報面の紙面制作を担当。

 古井 ジェンダー問題を考える時、「実利」と「視線」の二つの議論をしなきゃいけないと思う。実際の不便などは経済や政治の分野で変えていって、価値観や視線は文化で変えていく。
 能條 私は制度が意識をつくる部分はあると思う。周りでも制度に賛成派は多いが、自分がどうするかは別。(選択的夫婦別姓制度が導入され)徐々に別姓が増えれば別姓を選ぶことへの理解も広がっていく。
 2年前に活動を始め、行動すれば少しずつ変わっていくと実感している。いろんな世代の人が「少し動いてみようかな」と思って、行動してくれる人が増えたらうれしいな。
 古井 新しい人が生まれ、新しいルールが作られ、新しい社会になっていく。インターネットもあるし、昔にはなかったものが増えている世の中を僕たちは生きていく。温かく見守ってくれたらと思います。
 ◇「新聞記者ラジオ」では座談会の音声を聴くことができます。写真の撮影場所はいずれも東京都千代田区の東京新聞で、撮影のためマスクは外しています。

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