【動画あり】「防弾城」ソウルに出現 BTS所属事務所の新社屋 作曲やダンスの体験施設も

2021年6月9日 12時06分
 【ソウル=相坂穣】世界のポップ音楽界を席巻する韓国の男性7人組グループ「BTS(防弾少年団)」が所属する芸能事務所の新本社ビルがソウル市龍山区に完成し、レコーディング作業やダンスの演出などを疑似体験できる併設の展示施設が5月中旬に開館した。10代、20代の女性中心のファンに交じって、40歳の男性記者が入場し、BTSの表現者としての努力や葛藤に五感で触れた。(動画はHYBE INSIGHT提供)

ソウル市内に立つBTSが所属する事務所の新社屋=相坂穣撮影

 「大手事務所は普通、追っ掛けのファンに冷たい。地下駐車場の前で、スターの車の出待ちをするくらいしかできないけど、防弾バンタンはやっぱり優しい」。デビュー当時からBTSを応援してきたという30代女性が、一部で「防弾城」と呼ばれ始めたガラス張りの外観が特徴の地上19階、地下7階のビルを見上げた。
 上部に「HYBE」と社名のロゴが見える。前身のビッグヒットエンターテインメントは2005年設立の新興企業で、BTSは下積み時代、テレビ出演の機会も限られたが、会員制交流サイト(SNS)でファンと交流を増やすなど独自路線で人気を得た。ビル内に展示施設を設けて外部の人を受け入れるのは、「アーミー」と呼ばれるファンとともに成長したBTSの歩みを反映している。
 新型コロナウイルス禍でなければ、日本をはじめ海外のファンも殺到していただろう。5月14日の展示施設の開館に合わせて、のぞいてみようと考えていたが、甘かった。入場はオンラインによる完全予約制で、2万2000ウォン(約2100円)~2万5000ウォンのチケットの5月分は売り切れの状態。6月1日、ようやく訪問がかなった。
 私自身は特に一押しのメンバーはいないが、日本で人気があるというジミン(25)の写真入りチケットを受け取って、地下1、2階に設けられた延べ約4700平方メートルの展示施設へ向かう。
 BTSなど所属アーティストの楽曲を制作するスタジオを再現した展示にすぐに引き込まれた。ギターやドラム、ピアノなどの楽器やボーカルなどさまざまな音源を調整するミキサー装置を操作し、音楽プロデューサーになったような気分を楽しめた。

BTSなどのダンスを大型画面で映すコーナー=HYBE INSIGHT提供

 大型プロジェクターでダンスの振り付けが作られる過程を映す展示も迫力があるが、来場者本人がダンスを踊り、その様子を撮影してもらえるコーナーもある。手足の動きを強調するデジタル効果が施された動画ファイルが、体験後、本人のメールアドレスに届く。BTSメンバーのキレのあるパフォーマンスと比べるのは失礼だが、家族や友人に見せて自慢できそうだ。

BTSの7人が着用した衣装が飾られたケース=HYBE INSIGHT提供

◆メンバーのリラックス法は…

 メンバー7人の衣装の実物や米ビルボードチャートなどから贈られたトロフィーなど、BTSの栄光の軌跡を振り返ることもできるが、私は決して派手ではない展示にひかれた。
 「作詞をしていると、つまってしまう時がある。そんな時は、ソファに腰を掛け、コーヒーを飲んでリラックスする」「僕は他のメンバーより、遅く活動を始めた。本をたくさん読み、努力した」。シュガ(28)やJ―HOPE(27)らの言葉が、電話の受話器のような装置から聞こえる。スーパースターとして活躍する彼らも、日々悩みながら創作活動を続ける生身の人間であることを知り、共感を覚えた。

◆周辺で進む「聖地化」

BTSの事務所はもともと、韓国の芸能やファッション業界関係者が多く住むソウルの新市街地・江南カンナム地域にあったが、漢江の北側の龍山ヨンサン区に移転した。
 龍山区は、日本の植民地時代から龍山基地や朝鮮総督府鉄道局が置かれ、戦後も米軍が駐留し、武骨な街並みだったが、BTSの「聖地化」が進み始め、韓国のほか、欧米、アジアなど世界のファンが訪れ、華やいだ雰囲気になっている。

BTSの事務所近くでシンボルカラーの紫色のエプロンを着けたカフェのスタッフ=ソウルで、相坂穣撮影

 地下鉄駅や雑居ビルには、ファンが一押しのメンバーのために私的に設置した広告看板が登場。「BTSのおかげで、町が元気に生まれ変わって、幸せ」。近所でカフェを営む金容仙キムヨンソンさんは、BTSのイメージカラーである紫色のエプロンを新調し、展示施設の鑑賞を終えたファンを迎え入れる。

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