財政回復「日本だけがガラパゴス」 コロナショックで2025年度までに黒字化は絶望的

2021年6月10日 06時00分
財務省

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 コロナショックで国の借金は膨らみ、国と地方の基礎的財政収支を2025年度までに黒字化するという政府の目標達成は絶望的だ。骨太の方針では、感染症の財政への影響を年度内に検証すると記すにとどめ、財政再建に向けた増税などの具体的な議論を避けた形だ。
 「世界の中で日本だけがガラパゴスだ」。財務省幹部は漏らす。バイデン米大統領が4兆ドルの投資計画と同時に大企業や富裕層への増税を表明したように、コロナ対応で悪化した財政を回復する動きが欧米では出始めている。
 財政が既に悪化している日本は、コロナ対応名目の費用がかさみ、国と地方を合わせた借金の残高は国内総生産(GDP)の2倍に当たる1200兆円と主要国で突出している。それでも、欧米に比べて財政再建に向けた動きが鈍いのは、「衆院選を控え政治的なリスクを避けたいのだろう」(エコノミスト)とみられる。内閣府関係者は、コロナ禍による財政への影響検証も衆院選後の冬以降になるのではと推測する。
 財務相の諮問機関「財政制度等審議会」の今春の議論でも、複数の民間委員から財源の議論をするよう意見が出たという。だが、審議会が5月にまとめた建議は、米国や欧州連合(EU)の課税強化の動きを記すにとどまるなど抑制的な書きぶりだった。財務省関係者は「建議をまとめるためにいろいろな配慮はあった」と認める。
 国債(借金)を大量発行すれば通常はだぶついて、高い金利を払わないと買ってもらえなくなる。今は日銀が異次元の金融緩和策で国債を大量に買って金利上昇を抑えている。だが日銀の緩和は限界が指摘され、金利の急上昇で利払い費が膨張して財政がパンクするリスクと背中合わせだ。
 日本総研の河村小百合氏は「リスクは日銀の国債買い占めで隠されているだけで、日本の財政は砂上の楼閣だ」と現状を分析。その上で「早く対応しなければ新たなパンデミックに襲われても対応できなくなる」と警告する。(森本智之)

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