旧古河邸 コロナでピンチ 入場料収入減 ネットで運営資金募集 キーンさんも愛し、北区に移住

2021年6月10日 07時13分

旧古河庭園を散策するドナルド・キーンさん。後ろにあるのが旧古河邸=北区で、2012年撮影

 北区の旧古河庭園にある洋館「旧古河邸」と、文京区の「銅(あかがね)御殿(旧磯野家住宅)」が新型コロナウイルスの影響で運営資金不足に陥っている。双方の建物を管理運営する公益財団法人大谷美術館は先月から、インターネットで資金を募るクラウドファンディングで支援を呼び掛けている。 (砂上麻子)

近代和風住宅の銅御殿(大谷美術館提供)

 旧古河邸は、鉱山などで財をなした古河家の本邸として一九一七(大正六)年に完成。鹿鳴館など文明開化を象徴する建物を設計した英国人建築家ジョサイア・コンドル(一八五二〜一九二〇年)が設計した。洋館内部に和室を取り込んだ珍しい構造で、都公園協会管理の庭園とともに国名勝に指定されている。
 洋館を背景に約百種類のバラが咲く庭園は写真撮影スポットとして知られる。二〇一九年に亡くなった日本文学研究者ドナルド・キーンさんは園内を散策し、「ここで暮らせば幸せになれる」と直感。窓から庭園が見えるマンションに住みたいと目当ての部屋が空くまで二年待ち、一九七四年に北区へ移り住んだ。旧古河邸内では、キーンさんを写した写真の展示が行われたこともある。
 旧古河邸は内部を見学できるが、コロナ禍で昨年十二月末から臨時休館し、四日に予約制で再開したばかりだ。一方、銅御殿は東京に残る数少ない明治末期から大正初期にかけての邸宅建築で、国の重要文化財。年数回の見学会が開けない状態が続いている。

日本の西洋建築を代表する旧古河邸(大谷美術館提供)

 両施設とも入場料収入などが途絶え、管理運営費に窮している。クラウドファンディングは先月二十日から始め、目標金額の三百万円を超えた。九日現在で約六百六十五万円が集まり、新たな目標を一千万円に設定してさらなる支援を呼び掛ける。
 財団の大谷光陽子(みよこ)常務理事は「思いがけずたくさんの人から応援してもらい、涙が出るくらいうれしい」と感激する。一過性ではなく、クラウドファンディングを運営の新たな柱にと考えており、「日本と西洋の文化が調和した旧古河邸など、大切な文化財を次世代に伝える取り組みにしたい」と語った。
 クラウドファンディングは「ReadyFor」のサイトで三十日午後十一時まで受け付ける。 

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