富里市 森林再生へ仕組みづくり 材木の売却益で伐採代金

2021年6月10日 07時18分

奥の民有林から伐採され、乾燥のために仮置きされている材木。木質チップに加工され、発電燃料として使われる=富里市で

 富里市は林地の所有者と、発電燃料となる木質バイオマスの加工会社などを仲介し、森林を維持管理する仕組みづくりに乗り出した。倒木被害を防ぐとともに「脱炭素」の潮流に乗り、環境面での効果が期待される森林再生へつなげていく。 (堀場達)
 人工林の維持管理には、定期的な間伐や植林などの作業が欠かせない。材木需要が多かった時代は、こうした作業が繰り返されてきたが、現在では林地保全のための人手不足が全国的な問題となっている。
 同市の森林面積は市域の12・6%に当たる六百七十九ヘクタールと、さほど広くない。しかし、二〇一九年九月の台風15号では、倒木被害などで大規模停電が発生。所有者の高齢化などに伴う林地の手入れ不足が改めて浮き彫りになった。
 市が考えた仕組みでは、経費を中心に所有者の負担が軽くなる。伐採や造林を担う森林組合と所有者の間を市が取り持ち、森林経営計画を策定後、維持管理の実務が進められる。組合によって伐採された木は、購入した会社によってチップに加工、木質バイオマスとして利用される手順だ。本来は所有者から森林組合に支払われる伐採代金の相当費用が、材木の売却益でまかなわれ、所有者の持ち出しがなくなるという。
 仕組みづくりは、二〇年度にスタートした。初年度は現在市有地となっている国登録有形文化財の「旧岩崎家末広別邸」の敷地内で伐採、乾燥などの作業実証に取り組み、本年度は二カ所の民有地での計画策定と伐採に着手した。
 市の担当者によると、樹木は老齢化すると、光合成能力が低下し、酸素の排出量が減りがちという。「森林の荒廃を防ぐだけでなく、老木の伐採と、若木に植え替えるというサイクルを繰り返していくことで、二酸化炭素吸収という機能をさらに発揮するのでは」と話す。

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