「表現の不自由展・その後」に街宣車で妨害2時間 主催者「屈しない」と別会場探しへ

2021年6月10日 20時55分
展示会場を変更する方針を明らかにした実行委員会の岡本有佳さん(手前)と岩崎貞明さん=10日、東京・永田町の衆院第1議員会館で

展示会場を変更する方針を明らかにした実行委員会の岡本有佳さん(手前)と岩崎貞明さん=10日、東京・永田町の衆院第1議員会館で

 愛知県で2019年に開かれた「あいちトリエンナーレ2019」で激しい抗議を受けた企画展「表現の不自由展・その後」の作品を展示する「表現の不自由展・その後 東京EDITION&特別展」の実行委員会は10日、東京都新宿区で予定していた会場を変更する方針を明らかにした。会場付近で開催に反対する街宣活動が行われたためで、実行委は「不当な攻撃には屈しない」と25日からの会期の維持を念頭に、会場探しを進める。(梅野光春)
 同展には、戦時中の慰安婦を象徴する「平和の少女像」など19年の企画展に参加した国内外の作家13組などが出品予定。会期は7月4日までで、既に約600人の予約があった。
 実行委によると、今月6日、会場となるギャラリー前に街宣車が止まり、計約2時間にわたり、展示を実施しないよう求める声を張り上げた。時間帯によっては乗用車も含めた6台が道をふさぎ、他の車が通行できなかったという。街宣は8、10日にもあり、中止を求めるメールや電話もギャラリーに寄せられた。
 周辺は住宅が多く、ギャラリー側から会場変更を打診された実行委が9日、出品者から変更の合意を得たという。実行委の岡本有佳さん(58)は「来場の予約はいったん締め切るが、絶対に開催する」と強調した。 7月6~11日に名古屋市で開く「表現の不自由展・その後」は予定通り開催するという。

 ◆法的限度超える妨害

 武蔵野美術大・志田陽子教授(憲法学)の話
 展示を引き受けたギャラリーの意欲をくじく精神的妨害は、法的に見ても限度を超えていると思われる。「税金を使って展示するな」と攻撃されたあいちトリエンナーレとも違い、「自分が気に入らない作品の展示を止めろ」という主張には何の正当性もない。創作活動や作品の展示を萎縮させる誹謗(ひぼう)中傷は「表現の自由」とはいえない。批判は言論の応酬でやるべきで、表現者の足場を奪う妨害行為は認められない。「暴力を傍観することは加担するのと同じ」という言葉があるが、私たちも「批判するには作法がある」という意識を共有し、社会的環境をつくる必要がある。

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