大規模接種センターの対象者を全国の65歳以上に拡大 東京に来る人流発生?に疑問の声も

2021年6月10日 20時48分
東京・大手町の新型コロナウイルスワクチン大規模接種センター

東京・大手町の新型コロナウイルスワクチン大規模接種センター

 防衛省は10日、自衛隊が東京都と大阪府で運営する新型コロナウイルスワクチンの大規模接種センターの14日以降の接種分について、対象を全国の65歳以上の高齢者に拡大した。予約はインターネットに加え、12日からは専用問い合わせ電話でも受け付けるが、北関東など遠隔地から訪れるかや、東京に来る人流が発生するのでは、との疑問の声も出ている。 (星野恵一)
 大規模接種センターは5月24日に開設され、現在、東京会場は東京都、埼玉、千葉、神奈川の各県、大阪会場は大阪府、京都府、兵庫県を対象に運営。東京会場は今月14日から27日までの予約は14万人の枠に対して8割、大阪は7万人に対し7割弱の空きが出ている。
 自衛隊の大規模接種センターは、もともと65歳以上の高齢者の7月末までの接種完了を後押しする目的で設置。各自治体で接種が進んで予約枠に空きが出る中で「接種能力とワクチンを無駄にできない」(同省関係者)として、接種の対象拡大を検討していた。
 両会場に空きが出ていることに関して、インターネットの会員制交流サイト(SNS)では「年齢制限なしで進めて」と拡大を求める声がある一方、「自治体から接種券が配られないと申し込めない」と不公平感を漏らす声も出ている。
 防衛省は64歳以下で基礎疾患がある人や高齢者施設で働く人を加えることも検討したが、「まだ接種券を配っていない自治体へ批判が向く可能性がある」(同省関係者)ことや、不公平を招く恐れもあることから、政府内で協議して判断した。今後、状況を見て対応するという。
 予約が埋まるかどうかについて、中山泰秀防衛副大臣は10日、記者団に「(予約を受け付ける)環境づくりに専念するしかない」と述べた。

◆予約枠拡大も埋まる見通しなく

 自衛隊の新型コロナウイルスワクチンの大規模接種センターに関し、政府の利用者数の想定が結果的に外れたことで、動員された自衛隊や医療関係者らの能力をもてあます懸念が大きい。高齢者にとって夏季の長距離移動の負担は重く、都心部で人が密集する不安もある。東京、大阪会場で数万回分も余っている予約枠が地域を全国に拡大しただけで埋まる見通しはない。
 菅義偉首相が立ち上げを指示したセンターは、東京会場では1日1万回、大阪会場では同5000回の接種が行える。防衛省担当者は予約が埋まらない要因を「自治体での接種が進み、大都市に来るより地元で待つという人が一定数いる」と分析する。
 センターの運営などで民間業者3社と計約37億円の契約を締結しており、税金を無駄にしないためにも、対象を全国に拡大してセンターでの接種を増やしたい考えだ。しかし、地方と都市部の人の流れが活発化すれば、感染リスクを増大させかねない。防衛省内では「遠くから高齢者が来るのは難しい」との声も上がる。
 都市部では接種券の送付が遅れる自治体もある中、打ちたくても予約できない高齢者らがいるとみられる。券がなくても柔軟に対応したり、64歳以下も対象に加えたりして、周辺住民の利用を増やせるかが今後の課題となる。 (上野実輝彦)

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