高津の長坂伝八さん コロナ対策 「戦前型の反憲法思考だ」 あす1周年「憲法武蔵懇話会・憲法堂々」

2021年6月11日 06時55分

書斎で論考をまとめる長坂伝八さん=高津区で

 その政策は憲法に沿ったものなのか−。川崎市高津区に住む元法政二高社会科教諭の長坂伝八さん(75)は昨年六月から、現代政治と憲法を考える「一人会」を続けている。メンバーは自分一人。緊急事態を理由に人権を軽んじる動きも進むコロナ下で、「憲法で日本を守りたい」との思いを新たにしている。 (山本哲正)
 一人会の名前は「憲法武蔵懇話会・憲法堂々」。正々堂々と「憲法どおりの日本をつくる」ことを願い名乗る。
 政府のコロナ対策や日本学術会議会員の任命拒否問題などを護憲の視点から論考。できあがった提言を会報にまとめ、学生時代の友人や考え方に共鳴した著名人ら約四十人にファクスや郵送で送っている。
 一人会ではあるが、顧問に学生時代の友人の馬渕貞利・東京学芸大名誉教授(東洋史)を、アドバイザーに栗田禎子(よしこ)・千葉大教授(中東現代史)を迎え、会報に助言を得ている。手書きで清書し、これまでに四号を発行してきた。コロナのため「1周年集会」として今月十二日から、同じく文書を送信する。
 長年、教壇で憲法の意義を説いてきた長坂さんは、歴史研究者としても半世紀にわたり現代政治をウオッチし、学会誌などに書評、論文も発表してきた。二〇一七年には、集団的自衛権の行使を容認し安全保障法制につなげた一四年七月の閣議決定を違憲とする訴訟も起こしている(一八年に最高裁棄却)。
 専門家以外の人々にもっと憲法について知ってもらいたいと始めたのが、一人会だった。安保法制をめぐり「九条は破壊された」とする言説への違和感もあったという。「戦争法は憲法違反。憲法擁護義務のある政権が権力を強める改憲に前のめりなのも憲法違反。明確に指摘したい」

「憲法堂々」の会報

 この一年、会報で届けた批判は安保法制に限らない。経済優先のコロナ政策を見る目も厳しい。
 昨年七月の会報では、全国民のPCR検査を実施しなかった政府を「子どもから大人まで『感染しているのでは』『人に感染させるのではないか』と恐怖と不安にさらされ続けた」と批判。
 その政府は東京五輪・パラリンピックを開催するためのコロナ対策として、選手や観客へのPCR検査を行うという。長坂さんは「対策と位置付けていながら国民にはしなかった。国民を自己情報すら知り得ない暗闇状況に置き、一方で『お上の言うことを聞け』と行動を制限する体質。戦前型の反憲法思考だ」と憤る。
 権力者が戦争を始めることを防ぎ、権力の暴走から国民を守る憲法の重要性は増していると感じる長坂さん。「森友・加計問題や桜を見る会など前首相をめぐる疑惑は解明されず、自衛隊に敵基地攻撃能力を持たせる憲法違反の動きもあからさまになり、コロナ禍では命が軽視された。国家、政治の使命は命を守ること、正義を果たすこと、平和を守ることだと再認識した。堂々と憲法を生かす。日本が進む道はこれしかない」と語気を強めた。

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