<社説>出生数最少に 生活不安を解消せねば

2021年6月11日 07時26分
 今の生活や将来に不安があれば出産・子育てを諦める人が増えるのは当然だろう。少子化に歯止めをかけるには、生活不安の解消に向けて、あらゆる手だてを結集することが必要となる。
 二〇二〇年生まれの子どもたちは八十四万八百三十二人。初めて九十万人を割った前年からさらに二万四千四百七人減り、一八九九年の統計開始以来最少となった。女性一人が生涯に産む子どもの推定人数(合計特殊出生率)も下落傾向のままだ=グラフ。
 新型コロナウイルス感染症が出生数に与える影響は二一年に本格化する。直面するコロナ禍での支援と並行して、中長期の少子化対策に取り組むことが重要となる。
 最優先すべきは、失業や収入が減った人への経済支援と就労支援だ。事業者への経営支援も引き続き要る。これ以上の失業を防ぎ、日々の生活を支えねばならない。
 中長期で必要な対策は雇用の安定だ。雇用が不安定で賃金も安い非正規雇用の増加は結婚を阻む。安心して出産や子育てができる雇用対策が欠かせない。
 政府は、職業訓練やその間の生活費に充てる給付制度を設けているが、利用者数は目標を下回っている。周知を徹底すべきだ。
 男性社員が育児休業を利用しやすくする改正法が今国会で成立した。非正規の待遇格差是正と併せて、仕事と子育ての両立支援は今後も強化せねばならない。
 同時に、保育や教育費への補助や無償化など育児費用を減らす対策も重要だ。安価な住宅を得られる政策も生活の安心を支える。
 社会保障は、年齢を問わず負担できる人が負う「応能負担」の考えによる制度改正で、現役世代の負担を減らせるのではないか。
 出産、子育て以前に、婚姻件数も五十二万五千四百九十組と前年より七万組以上減り、戦後最少になった。コロナ禍は出会いの機会を奪い、婚姻をさらに困難にさせかねない。感染症の早期終息は少子化対策としても重要だ。

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