<新型コロナ>ワクチン接種はスピード勝負、発足直後から対応 水戸市保健所・土井所長「対応できる集団になった」

2021年6月11日 07時28分

新型コロナウイルスやワクチン接種の対応に当たる水戸市保健所=同市笠原町で

 茨城県内の新型コロナウイルス感染者の約一割が水戸市の居住だ。市内で確認された感染者に対応する市保健所は昨年四月の中核市移行と同時に発足し、感染防止対策に忙殺されてきた。陣頭指揮を執る土井幹雄所長(69)は「ウイルスは変異するので、ワクチンは一気に打たなければならず、スピード勝負。自分も感染せず、周りにも広げないことをもう一度徹底してほしい」と呼び掛けた。
 水戸市は、人口二十万人以上が要件の中核市移行に伴い、県から大幅に権限が移譲され、独自の保健所を設置した。発足直前から県内でも新型コロナの感染が拡大し、感染対策の一翼を担うことになった。
 土井所長は「長丁場になることは覚悟して始まった。スタッフの経験や技術のトレーニングが十分ではなく、最初は十、二十点ほどしか上げられなかったが、今は七十点くらいにはなったと思う。知識や、患者に必要なサポートへの理解がだいぶ進み、感染症対策に対応できる集団になった」と振り返る。
 もっとも、昨年七月に市内のキャバクラ店でクラスター(感染者集団)が発生した際は、県が先に情報を出し、県との連携不足も指摘された。
 その点、土井所長は「外から見ると、そう思われるかもしれないが、私自身はほとんど感じたことはない」と否定。「例えば、対策への大きなメッセージは、県でなければ出せない。目指している方向は全て同じで、県と市のそれぞれの役割をお互いに補っていくべきだ」と強調した。
 現状では、保健所だけの人員では間に合わず、市役所から二十人ほどの応援を得ている。「夜中まで患者の事務手続きに追われ、その上にワクチン事業もある。やらなければならないことは山のようにある」と吐露する。
 今後の焦点として変異株の動向を挙げる。「市内では、今年三月下旬に初の変異株感染が確認されてから一カ月ちょっとで、感染者全体の八割が変異株になり、感染力の強さが明らかになった」と明かす。
 五月中旬には茨城大の運動部内で、変異株のクラスターとしては県内最大規模の三十人超の感染者が出た。「第一報が入った時は、初動で感染の広がりがどの程度あるのかをしっかりと押さえて、早めに対策をした」と説明。その上で「若者は日常生活で活動的に動くので、大学を通じ、行動自粛を伝えた。大学側にも素早く協力をしていただき、思ったよりも早めに感染拡大を抑え込むことができた」と強調した。
 市内では高齢者へのワクチン接種が進んでいる。菅義偉首相は九日の党首討論で、全世代の接種について「十月から十一月にかけて、必要な国民、希望する方全てを終えたい」と表明した。
 土井所長は「時間がたてばたつほど、ウイルスは変異していくので、ウイルスの量を減らすためにも、打ちたい人がどこでも打てる環境をつくることが勝負の分かれ目だ」とみる。
 「変異株は、ウイルスが体内で増えるスピードが速く、短期間で周囲に広げてしまう。ウイルスはどんどん変異して、人間が制御しづらい形に変わっていく可能性は十分考えられるので、基本的な対策は緩めてはいけない。マスク、手洗い、換気の仕方が大丈夫なのか、いま一度確認してほしい」 (松村真一郎)

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