<11日に考えた>「那須希望の砦」活動10年 放射能問題を訴え続ける 山菜・キノコ セシウムの影響いまだに

2021年6月11日 07時35分

「活動は続けたい」と話す団体のメンバー

 東京電力福島第一原発事故後、那須町で農作物などの放射性物質濃度の計測や地域の除染に取り組んできた市民団体「那須希望の砦(とりで)」が活動開始から十年を迎えた。基準値を超える放射性セシウムが検出される山菜やキノコ類は、今でもある。会員は「影響は続いており、活動も続ける」と話す。(小川直人)
 東日本大震災直後の二〇一一年五月に「那須を希望の砦にしよう!プロジェクト」を立ち上げ、通学路を中心に空間線量の測定を始め、食品や土壌の計測も続けた。
 汚染土を使って作物への影響も調べた。タケノコ、タラノメ、コシアブラなどは放射性物質が土壌から作物に移行する割合が大きいことが分かった。
 地域住民らが持ち込む作物などの計測件数は、一六年の五百八十九件をピークに、二〇年は二百件と減少している。
 放射性セシウム濃度は、自然減衰により減少傾向にある。会のまとめによると、基準値一キログラム当たり一〇〇ベクレルに対して、コシアブラの一三年の平均は一一〇四ベクレルで、二〇年の平均は二七四ベクレル。タラノメは一二年の同五七四ベクレルから二〇年の同三七ベクレルに低下した。

作物などの放射線量を調べる計測器=いずれも那須町で

 ただ、昨年、コシアブラは最大八三六ベクレル、タケノコは一三五ベクレルと、一部で高い数値を示した。今年五月には那須町内のスーパーで購入したサンショウの葉で二三四ベクレルを検出。一部は国の出荷制限が続く那須塩原市内から出荷されていた。
 濃度の低減は、半減期が二年の放射性セシウム134が減少したためで、半減期が三十年の同137が残る今後は、減少は鈍くなると考えられる。
 このため、元代表の竹原亜生(つぐお)さん(77)は「サンショウの葉で起きたことは、十年後でも起こる」と指摘。インターネット上で出品される農作物から基準を上回る放射性セシウムが検出されることもあるといい、竹原さんは「販売、出品側の意識が薄くなっているのでは」と警鐘を鳴らす。
 温室効果ガス排出を実質ゼロにするカーボンニュートラルの議論の中での原発再稼働や、食品基準値見直しの動きもある。
 会員の減少や高齢化の悩みもあるが、共同代表の谷山実さん(83)は「放射能問題への関心を維持するためにも、活動を続けたい」と話す。

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