「脱炭素をリード」の掛け声も実態は…温暖化外交で出遅れた日本

2021年6月11日 11時15分
 国際外交の舞台で、地球温暖化対策の議論が加速している。米国主催の4月の気候変動サミットを機に、日米両政府などが2030年の温室効果ガス排出削減目標を引き上げ、論点は削減方法に移ってきた。菅義偉首相は「世界の脱炭素化をリードしていく」と意気込むが、実態が伴っていない。11日から英国で始まる先進7カ国首脳会議(G7サミット)でも気候変動は主要テーマ。国際政治の専門家は、地道な対策の実践での国際貢献を提案する。(福岡範行)
 国際舞台でリーダーシップを示しているのは、米国や英国だ。米バイデン政権が4月に開いたサミットは、日本などの削減目標見直しを前倒しさせた。
 各国の新たな削減目標は、11月の国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)で出そろう予定だったが、「主な目標引き上げの動きは一段落した」と国立環境研究所社会システム領域長の亀山康子さん(政治学)は話す。

◆台頭する中国 石炭火力削減に意欲、米と協調

 世界最大の排出国の中国は昨年12月、30年の削減目標を引き上げ、気候サミットでは見直さなかった。ただ、亀山さんは「習近平国家主席が参加しただけでなく、石炭火力発電所の削減も発言し、米国への協力姿勢を見せた。予想以上だった」と評価する。
 英国はCOP26やG7サミットの議長国。既にG7の交渉で、温室効果ガス排出量が特に多い石炭火力発電の全廃などを提案している。国内外で石炭火力発電から脱却できない日本とは対照的だ。
 英国は35年までの削減目標でも、1990年比78%減を掲げる。日本の2013年度比46%減より大幅に高いが、亀山さんは「英国は08年に世界に先駆けて気候変動法を制定した国。科学者が設定した排出量の上限に沿って政策を決めており、国内議論が進んでいる」と指摘。国際舞台での強い発言力にもつながっていると解説する。

オンラインでのインタビューに応じる亀山康子さん

 一方、日本は削減目標を引き上げたものの、目標に沿う電力のあり方などの議論の蓄積は乏しく、目標実現の道筋はおぼろげだ。対策は出遅れている。

◆どの国も解決策模索 日本は既存技術活用カギ

 亀山さんは「日本は目標達成が困難な国の一つ」としつつ、だからこそ効果的な対策を実践できたときの影響力は大きいという。
 「大型トラックの電気自動車化や建物の十分な断熱化など解決策が見つかっていないことはどの国も共通している。重要なのは、画期的な技術開発より既存技術でエネルギーを有効活用するシステム。日本の得意分野だと思うので、成功事例を示せたら評価されると思う」

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