五輪開催都市なのに…都議会、役割果たせず 巨額費用、招致の贈賄疑惑は未解明のまま

2021年6月12日 06時00分
<検証都議会2021㊥>
 「再延期含めてあらゆる選択肢を」「中止するべきだ」―。東京五輪・パラリンピック大会の招致決定から約8年。都議会では新型コロナウイルス禍でにわかに慎重論が広がるが、開催都市の議決機関ながら、これまで大会にあまり役割を果たせていない。国際オリンピック委員会(IOC)や大会組織委員会の力が大きく、関与には限界があるのが実態だ。
 今期4年間で、議会が存在感を問われる場面が何度かあった。象徴的だったのは2019年10月。IOCが突如、猛暑への懸念から五輪のマラソン・競歩会場を札幌に移転する案を発表した時だ。
 「断固抗議する」。小池百合子知事と共に、蚊帳の外に置かれた都議会からは不満が噴出。都民ファーストの会の都議は「許せない。IOCと戦い抜く」と息巻いた。
 都議会は全会派一致でIOCを非難する声明を発表したが、反発もむなしく4日後、札幌移転は正式決定した。「決定権はすべてIOCにあると見せつけられただけだった」と都議の1人。都議会の大物OBも自嘲気味につぶやいた。「大会は貴族のお祭り。彼らが決めればそうなるんだ」

◆巨額の大会経費、厳しい声もむなしく「非公表」

 招致段階の試算で7340億円だった大会開催経費が、1兆6440億円に膨らんだ問題も大きなテーマだった。
 19年、組織委が対外的に公表した事業報告では、都や国の公費で発注された大会用バスや警備計画策定など一部事業の契約額が「公表できない」とされた。大会スポンサーと結んだ随意契約だったこともあり、疑念が増大。都議会からは「ブラックボックスだ」「契約金額が公表できないなら、予算の執行を凍結するべきだ」などと厳しい声が相次いだ。
 その後、組織委は契約先の同意を得られた約110件(総額290億円)について公表したが、今も49件(総額680億円)は非公表のままだ。
 日本オリンピック委員会(JOC)会長の竹田恒和氏の退任につながった大会招致を巡る贈賄疑惑でも、調査を求める声が上がったが、都議会に報告された情報はほとんどなかった。
 ある自民都議は「やれたことはあったが、できることには限界もあった」と漏らす。

◆改選後の都議会に課題

 20年3月、都議会は議員提案で、組織委に大会関係文書の適切な保存・管理を求める条例を可決した。1998年の長野冬季五輪でも招致委の会計帳簿が焼却され、招致を巡る疑惑解明が阻まれたことなどを教訓にする狙いがある。
 ただ条例の規定は、努力義務。条例制定に関わったある会派の幹部は「大会経費の精査やIOCとの交渉の経過など、どこまで明らかにできるか。都議会の力が問われるのはここからだ」と強調。その使命は、改選後の新たな都議会へと委ねられる。

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