<新型コロナ>小金井、多摩26市で接種率トップ 大病院なく、8割個別で69%

2021年6月12日 07時05分

自身の医院で高齢者にワクチン接種をする小金井市医師会の小松淳二会長(左)=小金井市で

 多摩地域の新型コロナウイルスワクチン接種状況に関する本紙の取材で、二十六ある市のうち高齢者への一回目接種率トップは小金井市だった。市内に大病院はなく、医療資源に恵まれてはいないが、接種率は七割に迫る。日本医師会の中川俊男会長が記者会見で好事例に挙げたほどだ。その秘訣(ひけつ)は市医師会の自律的な貢献と行政との連携にあった。 (花井勝規)

■診療の合間に

 小金井市医師会会長で、小松外科胃腸科の小松淳二院長(59)によると、市医師会に加盟する七十三の医療機関のうち四十五機関が週に計約四千五百人のペースでワクチンの個別接種を行っている。自身の医院では一日約三十五人、週に百七十人のペースだという。
 二回目を打った女性(71)は「家から近いかかりつけ医なので安心。日常の診療の合間に予約を入れてもらった。行政任せではなく、率先してワクチン接種に取り組む熱意を感じる」と話した。同市では十日現在、高齢者の69%、一万八千百三十三人が一回目の接種を終えた。その八割はかかりつけ医など身近な医療機関の個別接種で積み重ねた。
 個別接種に比べ、集団接種では会場の確保に加え、医師、看護師、誘導係ら多くのスタッフが必要になる。小松院長は「一見すると集団接種のほうが効率的に見えるが、限界がある」と小回りの利く個別接種の成果に手応えを感じている。
 同市の人口十万人あたりの医師の数は百三十三人。大病院がある近隣の武蔵野市の三分の一、三鷹市の四分の一程度だ。小松院長は「ワクチンに限らず重症患者の搬送時など他市には頼り切れない。医師会メンバーの責任感や結束力は昔から強い」と説明する。
 市との密な連携もカギになった。市福祉保健部の堤直規副参事(49)は「接種は一方的に行政からお願いしたわけではない。医師会側から『一緒にやっていきましょう』と昨年十二月から毎月、打ち合わせを重ねてきた」と振り返る。小松院長も「ワクチンの箱が何箱入るかなど、きめ細かな情報の共有が担当者間でできている」と話す。

■医師会が集計

小金井市の各医院から市医師会へ毎日送られる「接種人数報告書」の例。医師会はワクチン接種に協力する会員からのデータをエクセルで集計し、市へ連絡している

 連携の象徴が、医師会が市へ毎日送る「接種人数報告書」だ。医師会は各医療機関からファクスで回収し、エクセルで集計して市へ連絡している。個別接種の人数把握に頭を悩ませる他市の担当者は「多忙な医師会に集計をお願いできない。小金井のまねはとてもできない」とうらやむ。
 ◇
 多摩地域の三十市町村への取材では、計百八万人余りの高齢者の約36%が一回目の接種を終えている。

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