<TOKYO2020→21>聖火リレー 等々力の出発式も中止 反対署名団体「声届いた」

2021年6月12日 07時27分
 新型コロナウイルスの感染収束の見通しが立っていないとして、公道での実施が中止となった東京五輪の県内聖火リレー。ランナーや走行ルートの首長からは状況を把握したうえで「やむを得ない」との声や「残念」といった声が上がった。一方、コロナ下のイベントに子どもたちが参加することを危ぶんでいた市民団体のメンバーらは、ほっとした表情を見せた。 (安藤恭子、安田栄治、酒井翔平)
 藤沢市の鈴木恒夫市長は「感染状況を踏まえると、やむを得ない」、小田原市の守屋輝彦市長も「慎重な判断が必要と考えてきた」と理解を示した。川崎市の福田紀彦市長は「大変残念に思う」とコメントを発表した。
 同市では今月三十日、中原区の等々力陸上競技場から武蔵中原駅前までの三・二キロをコースに、聖火ランナーが走る計画。市内七区の小学校・特別支援学校の児童二十人もサポートランナーとして競技場内を走る予定だったが、すべて中止となった。
 福田市長は「聖火リレーは自国開催の五輪を身近に感じられる貴重な機会だった。この日を待ち望んでいたランナーをはじめ、競技場での出発式を楽しみにしていた子どもたちのことを想(おも)うと胸が痛む」とした。
 「感染拡大を心配する地域の声が届いた」と喜んだのは、公道での聖火リレー実施や子どもたちの観覧中止を求め、街頭で署名集めをしてきた「川崎民主市政をつくる会」のメンバーら。
 聖火リレー中止の一報が届いたのは、同会が午後二時から市役所で開いた記者会見の直前。「不要不急は聖火リレー!」などのプラカードを掲げ、五百四十八筆の市民の署名を、市側に届けようとしていた。
 等々力陸上競技場での出発式は、近隣の小中学校から最大三千九百人を招く計画だった。小学生の孫に観覧の意思を確認する承諾書が学校から届いたという同区の市古博一さん(72)は、「学校に『おかしい』と声を上げた保護者もいた。もう少し早ければと思うが、常識的な判断に、ほっとした」と話した。
 聖火ランナーの思いは複雑だ。二十九日に相模原市内を走る予定だった相模女子大・学芸学部の小泉京美教授(61)=川崎市麻生区=は「残念。公道でなくてもできたのではないか。オリンピックにしてもワクチン接種の準備が半年早くできていれば、開催ムードが高まっていたと思う」とやり切れない様子。
 聖火をつなぐトーチキスのセレモニーについては「ぜひ参加したい。今までのオリンピックと違い、さまざまな課題を抱えている大会に、少しでも携われるのは光栄なこと。聖火をしっかりとつなげたい」と語った。

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