都民ファ「小池都知事は素晴らしいリーダー」 蜜月の最大会派、問われる都議会の監視機能

2021年6月13日 06時00分
<検証都議会2021㊦>

都議会定例会が終わり、各会派の控え室をあいさつ回りする小池百合子知事(左手前)を出迎える都民ファーストの会の議員たち(右側)=東京都庁議会棟で

 「小池百合子知事との強力な連携関係を生かし、都政の改革を前に進めることができた」
 5月下旬、東京都庁の記者会見室。最大会派の地域政党「都民ファーストの会」の役員らがずらりと並び、これまでの取り組みを自賛した。受動喫煙対策や待機児童数の7割減、政務活動費の飲食使用禁止…。「都民の利益になるかどうかをしっかりと判断して、都政を進めてきた」と力説した。
 都民ファは前回2017年の都議選で、小池氏が党代表(現在は特別顧問)として率いて躍進。「ふるい議会をあたらしく」をキャッチコピーに都議会に乗り込んできたが、知事との密着度の是非が問われてきた。
 ほとんどの都民ファ所属都議たちは、小池氏を手放しにたたえる。特に1期生は「決断が絶妙。素晴らしいリーダー」「聞く耳を持ち、正しい判断をスピード感を持ってできている」。人物評を尋ねるとこんな反応もある。「恐れ多くて言えない」

◆「都民ファは都政の課題を指摘しない」

 ただこうした会派内の雰囲気から、これまでに都民ファから8人が離党。そのうちの1人は2月、会見して、都水道局が残業代の未払いで労働基準監督署から是正勧告を受けたことを暴露。「議会質問で取り上げようとして止められた」とし、「都民ファは小池知事を守ることが最大の目的となり、都政の課題を指摘しない」と批判した。
 知事との近さゆえに政策要望を実現し、実績を誇示する一方、知事と議会が緊張感を持って対峙する「二元代表制」から見ると、頼りなさも否めない。
 小池氏と共に「東京大改革の一丁目一番地」と位置付けてきた「情報公開」。電子データで無料提供するサービスなどは進んだが、最も大事な公開度向上は道半ば。本紙が情報公開請求したカジノを含む統合型リゾート施設(IR)の関連文書などを「都民に混乱を生じさせるおそれ」などとして、ほぼ黒塗りで開示するようなケースは少なくない。

◆コロナ対策の検証求める姿勢も目立たず

 これまで4兆5000億円を超える公費を投じている新型コロナウイルス対策の検証を都側に求める姿勢も、立憲民主党など他会派に比べると目立たない。
 今回の都議選で、最大会派への返り咲きを期す自民党は都民ファを「チェック機能を果たしていない」と批判。8日の公約発表会見では会派役員が「ただヨイショでごまするだけならいらない」とこき下ろした。
 小池氏の元秘書で都民ファ代表の荒木千陽氏は本紙の取材に「知事には現場の声を直接伝えている。信頼関係の上でチェック機能も提案機能も果たしている。負け犬の遠ぼえとしか聞こえない」と語る。
 知事と議会の距離感について、長年都政を見てきた佐々木信夫・中央大名誉教授(行政学)は、都民ファを「小池学校の集団。独自の理念が見えない。小池氏に頼らないといけない人が多い」としつつ、自民にも厳しい見方をする。「知事与党から外れていたから厳しい姿勢を取っていた。真ん中に座るようになると、(数の力で主導権を握った)昔のやり方に戻るのでは」とし、こう語る。
 「議会は予算の議決、条例制定や改廃など権限は大きく、都政の方向性を握る存在だ。有権者はよく見極めて票を投じなければ」(岡本太、松尾博史、原昌志、小倉貞俊が担当しました)

 二元代表制 首長と議会が、それぞれ住民による直接選挙で選ばれる仕組み。両者は独立した対等な立場で、議会の議決に基づき首長が事業を執行する。緊張関係を保ちながら住民の意思を行政に反映させることが期待されている。都議会では都民ファーストの会(46人)、公明党(23人)が知事支持派で自民党(25人)も容認姿勢。共産党(18人)、立憲民主党(7人)、生活者ネット(1人)などが知事に批判的な立場を取る。首長が地域政党の役職に就く例として、吉村洋文大阪府知事が大阪維新の会代表、河村たかし名古屋市長が減税日本代表をそれぞれ務めている。

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