【評伝】小林亜星さん「鼻歌で出てくるくらいの曲を」 愛されたCMソング・アニメソング

2021年6月14日 20時11分

インタビューに答える小林亜星さん=2009年6月、東京都内

 小林亜星さんは、CMソングやアニメソング、子ども向け番組の曲、歌謡曲など、幅広い分野で世代を超えて親しまれる音楽を多数残した。その数、6000とも8000ともいわれる。本紙の取材に「長く愛されるには、どうしたらいいか考えて作っている」と心構えを話していた。
 テレビが娯楽の中心となった時代に、欠かせない作曲家だった。

◆「目立つだけでは飽きられる」

 「ピンポンパン体操」、CMソング「日立の樹(この木なんの木)」、都はるみさんが歌った「北の宿から」…。曲作りで大切にしていたのが「遊び心」。その一方で「目立てばいいというだけでは飽きられてしまう」と強調し、情熱を持って新しい世界を切り開いていった。
 数年前に小林さんにインタビューしたコラムニストのペリー荻野さんによると、「みんなに愛される作品があった方が豊かな世の中になる」と持論を掲げていた。ただし、力が入りすぎるとうまくいかない。「鼻歌とかで出てくるくらいの方がいい」と明かしていたという。CMソングを手掛けるに際し、その企業のトップに会って意気投合するとヒットしたとの経験則を挙げていたともいい、「人を見る目もあったのでしょう」。

TBSドラマ「寺内貫太郎一家2」の出演者らと写真に納まる小林亜星さん(前列中央)=1975年3月

◆次世代へ平和な社会願う

 近年は国内外の情勢を憂い、平和への思いを口にしていた。2015年、作家の野坂昭如さんの葬儀・告別式では「戦争を知る人が少なくなっている。僕らが死んだら心配だ。もう少し頑張ってお伝えしなくちゃいけない」と声を上げていた。特定秘密保護法に反対する市民団体にも名を連ねていた。
 国民的ヒットソング=みんなで歌える歌。いちずにがむしゃらに手掛けた作品には「社会が平和で、人々が幸せになるように」と思いを込めていた。(藤浪繁雄)

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