<新型コロナ>ひきこもりと親 孤立させない さいたま、半年ぶりに学習会再開

2021年6月15日 07時34分

けやきの会が半年ぶりに開いた学習会。初めて参加する親の姿が目立った=さいたま市岩槻区で

 新型コロナウイルス感染拡大が、ひきこもりの人やその親にも影響を及ぼしている。外出自粛の長期化が心身の負担になり、当事者会や家族会の中止で孤立感を深めてしまうことも。感染収束が見通せない中、つながりを絶やさないようにと支援者たちは手探りで活動を続けている。(近藤統義)
 「私たちが死んだ後、うちの子はどうやって生きていけばいいのか」「子どもにどう声をかけていいのか分からない」−。
 五月中旬、NPO法人「KHJ埼玉けやきの会家族会」が、さいたま市内で半年ぶりに再開した学習会。ひきこもりの子をもつ親十五人ほどが訪れ、親子関係などについて講演した専門家に切実な思いをぶつけた。
 けやきの会は家族の支援を第一に掲げ、親を対象とした月一回の月例会と学習会が活動の中心。当事者会も月二回開くが、いずれも昨年来、緊急事態宣言が県内に出るたびに中止や縮小を余儀なくされてきた。
 開催すると、新たに入会してきた親の姿が目立つという。この日もほとんどが初めての参加者で、年代はさまざま。代表理事の田口ゆりえさん(72)は「再開を待っている人がたくさんいて、ニーズの高さを実感する」と話す。
 けやきの会も加わる「KHJ全国ひきこもり家族会連合会」の昨年度の調査では、コロナ禍を受けて当事者や家族からは「人との接触に、より過敏になった」「息子とずっと自宅で過ごし、ストレスで体調を崩した」などの声が寄せられた。
 けやきの会では「社会全体が自粛生活になり、子どもが安心してひきこもっている」とみる親が比較的多い一方、「一人で外出できるようになったのに、また出づらくなった」と不安を募らせる当事者もいる。
 こうした状況だからこそ、悩みを共感できる仲間の存在が大切だと田口さんは考える。自身も約十五年前、次男のひきこもりをきっかけに入会。同じ立場の親たちと出会い、「一人じゃない」と勇気づけられた。
 ひきこもりに直面する家庭では、「人に会うのを避けたい」という当事者と、「外に出てほしい」と望む家族との気持ちのズレがしばしば生じる。田口さんは「まずは親自身が自分の内面に向き合うことが必要」として、コロナ禍の中でも可能な限り、家族に学びと交流の場を提供していくつもりだ。

◆県サポートセンター 20年度の相談 1500件超

 ひきこもりの相談は、コロナ禍にかかわらず依然として多い。県ひきこもり相談サポートセンター(越谷市)によると、2020年度の相談件数は約1550件。元農林水産次官による長男殺害事件など、ひきこもりを巡る事件が相次いだことで社会の関心が集まり、相談が急増した19年度とほぼ同数だった。
 全体のうち約半数が「話を聞いてほしい」という当事者からの相談。昨春の一斉休校明けに不登校になったという親の訴えもあった。センター長の鎌倉賢哉さん(47)は「在宅勤務の影響からか、父親からの連絡も目立った」と話す。
 サポートセンターは電話や来所に加え、テレビ電話によるオンラインの相談も受けている(土曜のみ)。問い合わせは同センター=電048(971)5613=へ。けやきの会=電048(651)7353=も個別相談を受け付けている。

関連キーワード

PR情報

埼玉の新着

記事一覧