<社説>東芝総会と政府 関与の有無説明せねば

2021年6月15日 07時50分
 「公正とは言えない」。東芝=写真は同社のロゴマーク=が昨年開いた株主総会について外部弁護士による調査報告書はこう指摘した。「物言う株主」対策に経済産業省が関与したとも認定した。事実なら企業統治を根底からゆがめる行為で、直ちに第三者機関に調査を委ね結果を公表すべきだ。
 調査は株主であるエフィッシモ・キャピタル・マネージメントの提案に基づき行われた。旧村上ファンドのメンバーらが運営するエフィッシモは、総会などで積極的に経営刷新などを求める「物言う株主」として知られる。
 エフィッシモは昨年の総会で車谷暢昭社長(今年退任)の再任を拒否するなどの構えをみせ、経営側と鋭く対立した。報告書によると、東芝と経産省は一体となり、外為法の適用も示唆しながら、エフィッシモに姿勢を転換するよう迫った。
 東芝は原発を手掛けており、外為法で安全保障上重要な業種と分類される。国が関心を寄せるのは当然だが、今回は経営陣が「物言う株主」の動きを阻むために国の介入を求めた疑いが出ている。
 株主総会の決断は経営にとって極めて重い。安保など例外事項を除いて国が入り込む余地はない。一方、経営陣は、厳しく経営に注文を付ける株主であっても逃げずに向き合う義務がある。
 報告書はエフィッシモの提案でまとめられた。現段階で内容をうのみにはできない。しかし、当時の状況から勘案して説得力があることも事実だ。
 梶山弘志経産相は東芝の対応を待つ姿勢だが認識が甘くはないか。疑いを放置したままでは日本企業の統治をめぐる信用は国際的にダメージを受け続けるはずだ。
 経産省は早急に介入の有無を含めた実態の解明と公表を外部機関に委ねるべきだ。東芝も十四日、車谷前社長を含む総会当時の関係者の責任を検証する方針を明らかにしたが当然だろう。
 今回の事態の背景に、水面下で続く企業と所管官庁のもたれ合いがあることも否定できない。そのいびつな関係がフェアな企業社会の醸成を阻害しかねない現状を重ねて指摘したい。 

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