刺しゅうを買ってパレスチナ支援、日本で注文相次ぐ 紛争地ガザの女性たちが手作り

2021年6月15日 12時00分
 イスラエルとの軍事的緊張が続くパレスチナ自治区ガザの女性たちを、パレスチナ伝統の刺しゅう製品を買って支援する取り組みが日本で広がっている。現地では5月にも衝突が勃発。刺しゅうをネット販売する「パレスチナ・アマル」(大津市)では同月中旬以降、通常の2年分に当たる約800件の注文があった。停戦が発効したが、代表の北村記世実さんは「女性たちはこれから生活を再建しないといけない。関心を持ち続けてほしい」と語る。(森田真奈子)

パレスチナ自治区ガザの女性たちが作った刺しゅうを紹介する北村記世実さん=滋賀県草津市大路で

 パレスチナ・アマルが扱うのは、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)がガザの女性たちを支援する事業「スラーファ」(Sulafa=高級な刺しゅう)の製品。北村さんは、連携して販売している。アマルは、アラビア語で「希望」を意味する。
 スラーファでは、長年にわたって断続的に起きる紛争で夫を亡くすなどした20~70代のガザの女性約300人が活動。バラや鳥などパレスチナの伝統的な幾何学模様を刺しゅうしたスカーフやワンピース、小物などを手作りして売ることで、収入を得ている。
 今回の紛争でスラーファの女性が犠牲になったとの知らせはないものの、空爆が続いた5月中旬には「子どもが怖がらないようにずっと抱いたり、アニメを見せたりしている」「爆音がひどくて円形脱毛症になった」などの悲鳴が、北村さんに届いた。

「スラーファ」で刺しゅうに取り組む女性たち=パレスチナ・アマル提供

 北村さんが現状をツイッターで発信すると、日本国内で反響があった。刺しゅう製品は完成度が高く、ストール1枚で2万~3万円ほど。決して安くはないが「支援したい」「デザインがすてき」などと注文が相次いだ。
 北村さんは友人の紹介で1999年にガザを初訪問。当時の街は平穏だった。だが、再び訪れた2001年には至る所で銃声が響き、亡くなった人の顔写真が壁一面に張られていた。「あまりにひどい状況に、何もできない無力感があった」という。「パレスチナのために何かしたい」との思いで、13年にパレスチナ・アマルを立ち上げた。
 現在は紛争の影響で製品の仕入れの見込みは立っていない。少しでも早く支援を届けようと、先に注文を受け付け、売上金を現地の必要に応じて送ることにした。
 北村さんは「過去の紛争で『刺しゅうがあったから子どもを学校に送れた』という女性もいた。刺しゅうを通して、ガザの女性たちに心を寄せてほしい」と話している。
 詳細は「パレスチナ・アマル」のサイトで。

 5月のガザでの紛争 東エルサレムで5月上旬から、イスラエルの警官隊とパレスチナ人との間で衝突が続き、多数のパレスチナ人が負傷した。同月10日、パレスチナ自治区ガザのイスラム主義組織ハマスがエルサレムなどに向けてロケット弾を発射。イスラエル軍はガザ地区のハマスの拠点などを空爆し、250人超が死亡した。エジプトが仲介を主導して両者が停戦合意し21日、発効した。

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