【動画あり】「外国人監視に市民を動員」入管庁が在留カード真偽読取アプリを一般公開 難民懇が問題視

2021年6月15日 20時37分
 外国人の在留カードが本物かどうかをスマホなどで確認できるアプリケーションを出入国在留管理庁が昨年12月からホームページで一般に公開している。5月末までに4万回ダウンロードされた。市民による外国人監視につながりかねないとして、15日には、「難民問題に関する議員懇談会」(難民懇、石橋通宏会長)でこのアプリが問題視され、参加した野党議員や支援団体のメンバーらから「差別や偏見を助長する」と批判の声が上がった。(望月衣塑子)

誰もがネット上でダウンロードできる在留カード真偽確認のアプリに批判が集まっている

 在留カードは国内に3カ月以上在留する外国人に交付される。2020年のカード保持者は約258万人。
 入管庁が公開している「在留カード等読取アプリ」はカードのICチップを読み取り、偽造かどうかをチェックできる。NTTデータに8400万円で発注して開発。外国人の雇用を検討している事業者や、金融機関などで活用されることを想定しているが、現在、どのように利用されているのかは把握していないという。
 アプリ開発の背景には、在留カード偽造の摘発件数増加がある。15年の摘発数は369件だったが、18年には620件と急増している。インターネット上でカード番号を打ち込むと有効なカードかどうか確認できる仕組みがあるが、これを擦り抜ける偽造カードがでてきたためアプリを開発することになった。

 在留カードの真偽確認アプリの問題が取り上げられた難民問題に関する議員懇談会

 難民懇にオンラインで参加した移住者と連帯する全国ネットワークの鈴木江理子副代表理事は「外国人の監視に市民が動員される。地域社会の分断、日常生活における差別・偏見の助長につながり、個人情報保護の点でも問題だ。信頼関係が持てない状況でどう共生社会ができるというのか」と批判する。 
 入管庁はアプリの公開は継続方針だが、君塚宏在留管理支援部長は本紙の取材に「アプリが悪用され、人権侵害が起きることは全く望んでいない。指摘を受け、対応を検討する」と話した。

◆「日本人と外国人を分断」憤る在日外国人

 在留カード等読取アプリがインターネット上で配布されている現状に、在日外国人から「信じられない」「ショックだ」と不満の声が上がる。
 18年間日本に滞在するミャンマー人の男性(35)は「政府は自分たちのような正規滞在者さえ疑うアプリを作り、市民に拡散している。10歳のめいっ子は外国人として既に差別を受けている。子供たちは悪気なくアプリを見せ『おまえのは本物か』と言うかもしれない」と話した。
 ガーナ人の女子高生(18)は「私のような高校生が知らない人からアプリを使い、在留カードを見せろと言われたらどんな気持ちになるのか」と話す。イラン人の男性(43)は「日本政府は日本人にも同じようなアプリを作るのだろうか。国民に外国人監視の武器を持たせ、日本人と外国人を分断させようとしている」と批判した。
 国際人権非政府組織(NGO)ヒューマンライツ・ナウ事務局長の伊藤和子弁護士は「アプリが差別を助長する可能性を想定できなかったのか」と批判。入管庁がアプリ開発に際し対象となる外国人や支援団体、弁護士など第三者へのヒアリングを行っていなかった点について「影響を受ける正規滞在者らの意見を聞き、慎重に政策決定すべきだった。全市民に配布する必要があるのか、考え直すべきだ」と指摘する。

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