コロナ療養者の郵便投票特例法が成立 投票機会確保に前進、不正投票の防止に課題

2021年6月15日 22時03分
 新型コロナウイルスに感染した自宅・宿泊療養者らに選挙で郵便投票を認める特例法は15日の参院本会議で、与党と一部野党の賛成多数で可決、成立した。25日告示の東京都議選から適用される見通しだ。自民党などは、外出制限に伴って投票機会が失われる事態を避けようと法整備を急いだが、衆参の国会審議では不正投票を防ぐ難しさなど運用面の課題も浮き彫りになった。
 特例法は今月3日、自民、公明両党と日本維新の会が共同提案した。公選法で重度障害者らに限定されている郵便投票の対象を当面の間、外出自粛要請を受けたコロナ療養者と、海外から帰国してホテルなどで待機する人に拡大する内容。参院本会議の採決では、国民民主党とれいわ新選組も賛成し、立憲民主党と共産党は反対した。
 法案審議では、第3者による「なりすまし投票」などの横行を懸念する声が相次いだ。郵便投票は1951年の統一地方選で不正投票が相次いだのを機に一時、廃止された経緯があるためだ。法案提出者は答弁で、違反者には罰則を科すことや、投票用紙の請求時に本人の署名を義務付けるなどの対策を徹底すると説明し、理解を求めた。
 1人暮らしの自宅療養者が郵便投票の請求や投票用紙封筒の投函にあたって最寄りの郵便ポストまで外出できるかどうかも論点になった。法案提出者は感染拡大防止の観点から「家族、知人に依頼する」(維新の浦野靖人衆院議員)との見解を示したが、患者が置かれた状況によっては現実的な対応と言い難く、運用面の課題として残った。
 法施行までの期間が短く、国民への周知や自治体の対応が不十分になる恐れも指摘された。法整備を主導した自民党は全国の自宅・宿泊療養者が今月9日時点で約1万8000人に上ることを踏まえ、投票権行使を可能としなければ「立法府の不作為が問われることになる」と主張。施行日を3カ月後に先送りする立民の修正は受け入れず、与野党は政府に国民や自治体への情報提供の徹底を求める付帯決議の採択で折り合った。
 事前の与野党協議で対象から除外された濃厚接触者に関しては、投票のための外出が困難だという意見が続出。法施行後の運用状況を見極め、今後の検討に委ねることが付帯決議に盛り込まれた。(川田篤志)

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