「緊急メール」に誰ひとり動かず みずほ銀障害、顧客軽視の風土浮き彫り

2021年6月15日 22時16分
 みずほフィナンシャルグループ(FG)は15日、みずほ銀行のシステム障害の責任を明確にするため、坂井辰史社長の役員報酬の減額などの処分を発表した。
 のべ700人超の役職員への聞き取りなどをした第三者委員会の報告書からは、みずほ銀行の理念である「一人ひとりがお客さま起点を徹底し、自ら考え行動する」とは真逆の顧客軽視の姿勢が浮かぶ。
 「ATMのエラー発生が多発しています」。報告書によると、2月28日午前10時15分、業務委託先の管理センターからみずほ銀行の6つ以上の部署へ430件のエラーを検知したとの緊急メールが送られたが、対応に動く担当者はいなかった。通帳やキャッシュカードがATMに取り込まれるトラブルは最終的に5244件発生したが、それを想定できなかった。
 複数の部署の担当者は午前11時12分にはATM前で顧客が立ち往生していることをSNS上の情報で把握。休日対応で人員の限られた問い合わせ電話はパンクし、顧客は動くに動けない状況で7時間以上待たされたと申告した顧客もいた。みずほ銀がホームページに「後日銀行から連絡するので立ち去って構わない」旨のメッセージを掲示したのは発生から約6時間後の午後3時58分。問題を把握した後も掲載文を誰が書くか決まらず、書いた文案への各部署からの反応もないなど作業は停滞した。
 みずほ銀はリスクを過小評価していた。同行の障害対応は5段階あり、不特定多数の顧客に重大な迷惑が及ぶ例は頭取に報告が上がる最重要ケース「S」だ。だが、午後1時前にようやくシステム部門が社内に送った報告メールは、特定の顧客に軽微な迷惑をかけたとする「A2」。藤原弘治頭取が障害を知ったのは午後1時半、インターネットニュースを通じてだった。
 「持ち場を越えて意見を述べる行動が高く評価されず、間違いがあれば大きく評価を下げる企業風土」。報告書では企業風土が、行内の情報共有が進まず顧客対応が後手に回った原因と指摘。過去の大規模障害にも共通する遠因であり、「改革は容易でないことが今回実証された」と断じた。
 みずほフィナンシャルグループの坂井辰史社長は会見で、「風土は結果として醸成されるもので、経営が言っても簡単には変わらない。だが、(今後も)ずっと同じかというとそうではない」と険しい顔で述べた。(皆川剛)

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