中国の台山原発で放射性ガス放出、建設の仏電力「問題ない」

2021年6月16日 06時00分
 【パリ=谷悠己】フランス電力(EDF)は14日、建設に関わった中国広東省台山市の台山原発1号機(出力175万キロワット)で放射性希ガスを放出させたことを明らかにした。米CNNテレビが同原発で放射能漏れが起きた可能性を報じたことを受けて記者会見し、「周辺環境に問題はない」と強調した。

中国広東省台山市の台山原発

 EDFは会見で、希ガスの放出は炉心の燃料棒の一部が損傷した影響だと説明したが、放出時期は明らかにしなかった。「希ガスの発生は原子炉の運転中に起こる既知の現象。放射線量は中国当局の規制値を超えていない」として事故ではないとの見方を示し、情報収集のため合弁会社の臨時取締役会の招集を求めたことを明らかにした。
 同原発はEDFと中国企業との合弁会社が建設し、EDFの子会社フラマトムが設計を担当した。
 CNNは、フラマトムが技術支援を求めて米当局に宛てた書簡には、5月末時点の原子炉格納容器内の放射線量が仏規制値の2倍超と記されていたと報じた。仏国内であれば運転停止措置の対象となる数値で、フラマトムは「中国当局は運転停止を避けるため放射線量の上限値を調整している」と米当局に訴えたという。仏メディアは、昨年10月には初期の問題が起きていた可能性があると報じた。
 2018年から稼働する台山原発は、欧州加圧水型炉(EPR)と呼ばれる仏技術の新型炉を採用。EPRは仏国内とフィンランドでも1基ずつが建設中だが技術的課題に伴うコスト増から完成時期が大幅に遅れており、台山原発が世界初の運転例となっている。
 フランスでは老朽炉をEPRへ順次置き換えていく構想があり、台山原発の問題を受け仏メディアでは安全性を不安視する報道が相次いだが、二酸化炭素(CO2)削減のため原発推進の立場を取るポンピリ環境相は15日の公共ラジオ番組で「冷静な議論をすべきだ」と反論した。

◆中国政府は「異常なく安全」と強調


 【北京=坪井千隼】中国広東省台山市の台山原発で放射性物質漏れが起きたと指摘された問題について、中国外務省の趙立堅副報道局長は15日の記者会見で、「原発周辺の放射線の水準に異常はなく、安全は保証されている」と述べ、問題は起きていないと強調した。
 趙氏は、「原発は技術的な基準を満たしており、良好な運転状況を保持している。周辺環境や健康への影響は発生していない」と述べ、一部の指摘は当たらないと主張した。
 台山原発を運転する中国企業も「原発や周辺地域の(放射線量)のデータは正常だ」と声明を出している。

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