<社説>国会きょう閉会 国民が見えているのか

2021年6月16日 08時11分
 通常国会がきょう閉会する。新型コロナウイルスの感染が収まらない中、国民の命と暮らしを守るために、国会=写真=は自らの役割を果たしたのか。あえて問いたい。「国民が見えているのか」と。
 国権の最高機関であり、唯一の立法機関である国会は、国政の調査や行政監視の権能を国民から委ねられている。その役割を果たせたのか、すべての議員が、まず自問自答すべきである。
 まずは新型コロナ対策。ワクチン接種が進んでいるが、接種率がなぜ他の先進諸国に比べて低いのか。菅義偉首相ら政権の危機感が当初乏しかったのではないか。
 緊急事態宣言などの発令と解除を巡り、後手と言われたり、時期尚早と批判される対応をなぜ繰り返したのか、東京五輪・パラリンピックの開催強行が医療態勢を逼迫(ひっぱく)させ、国民の命や暮らしを危険にさらすことはないのか。
 こうした尽きない疑問や不安を首相や政府にぶつけ、経済支援など足らざる対策を講じるよう迫ることこそ国会の役割だが、政府側から納得のいく答えはない。一義的に政府の責任だが、答えを引き出せない国会の責任も重大だ。
 会期中には、与党議員が緊急事態宣言下の夜の酒場通いで相次いで辞職、離党した。国民の苦しい状況が見えていれば、こんな軽率な行動を取れるはずがない。
 この国会に引き継がれた多くの問題も、解明に至っていない。
 菅首相による日本学術会議会員の任命拒否、安倍晋三前首相事務所の「桜を見る会」前日夕食会への会費補填(ほてん)、西川公也、吉川貴盛両元農相が鶏卵大手から現金を受領したとされる事件、参院広島選挙区での公選法違反事件などだ。
 さかのぼれば森友・加計学園を巡る問題も未解明だ。政権中枢に近い者への優遇という点で、菅政権で発覚した首相長男らによる総務省接待問題にも通底する。
 独善的な政権運営や「政治とカネ」を巡る問題は国政調査権を駆使して真相を解明し、再発防止策を講じるべきだが、国会、特に与党の動きは鈍く、責任を放棄したと批判されても仕方がない。すべての議員に猛省を促したい。

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