池袋乗用車暴走事故 飯塚被告「車の不具合、再起動で元に戻った」【詳報・被告人質問】

2021年6月21日 15時39分

事故現場で実況見分に立ち合った飯塚幸三被告(中央) =2019年6月13日、東京都豊島区東池袋で

 東京・池袋で2019年4月、暴走した車に松永真菜まなさん=当時(31)=と長女莉子りこちゃん=当時(3)=がはねられて死亡した事故の刑事裁判は21日午後1時半から、東京地裁で始まった。自動車運転処罰法違反(過失致死傷)の罪に問われた旧通産省工業技術院の元院長飯塚幸三被告(90)に対する被告人質問があり、遺族の松永拓也さん(34)らが直接、質問した。法廷の様子を詳報する。

池袋乗用車暴走事故 起訴状などによると、飯塚幸三被告は2019年4月19日正午すぎ、東京都豊島区東池袋4の都道で、ブレーキと間違えてアクセルを踏み続けて時速約96キロまで加速し、赤信号を無視して交差点に進入。横断歩道を自転車で渡っていた近くの松永真菜さん=当時(31)=と長女莉子ちゃん=当時(3つ)=をはねて死亡させたほか、通行人ら男女9人に重軽傷を負わせたとされる。

13:30 「申し訳ありません」
 松永拓也さんは紺色のスーツ姿。公判が始まる直前、目を閉じ、ネクタイの上から胸に手を当てた。松永さんは、いつも妻真菜さんの結婚指輪と婚約指輪をネックレスにして、首から提げて公判に出ている。
 飯塚被告は、黒いスーツ姿。下を向いたまま、車いすに乗って入廷した。
 公判が始まると、冒頭、裁判長が質問する人を確認した。被害者側で質問するのは、松永さんと真菜さんの父親の上原義教さん、事故でけがをした被害者の代理人弁護士の3人。
 最初は、松永さんが質問に立った。飯塚被告が車いすのまま証言台に進み、検察側の席にいる松永さんに頭を少し下げるような様子を見せた。松永さんは飯塚被告をじっと見据えていた。
 松永さんはまず「私の妻と娘の名前を言えますか?」と質問した。飯塚被告は「はい。まなさんとりこさんです」。さらに松永さんが「漢字は言えますか」とただすと、飯塚被告は「えー、真という字に…」と答えた後、5秒ほど沈黙し「記憶が定かではないですが、菜の花の菜ではないかと。りこさんは難しい字なので、ちょっと書いてみることができないと思います。申し訳ありません」と答えた。
 松永さんは声を荒げる様子はなく、続けて淡々と「裁判の中で、妻と娘の名前を一度も言っていないが、理由はなんですか」と尋ねた。
 飯塚被告は「えー」と発した後、12秒ほど沈黙し「今まで、ちょっとそういう機会がなかったと思っております」と答えた。証拠の中にあった松永さん家族の写真について尋ねられると、ときどき言葉が詰まりながら、記憶に残っている写真について説明した。記憶に残っている写真として、お菓子を持つ莉子ちゃんが写ったクリスマスの写真を挙げた。「どう思ったのか」と問われると「かわいい方を亡くしてしまって、本当に申し訳なく思っております」と述べた。
13:35 「大筋で違っていない」
 質問は、ドライブレコーダーと飯塚被告の記憶が食い違っていることに及んだ。松永さんは、飯塚被告が4月の前回の被告人質問で自ら語った4点の記憶違いについて、「その4つ自体も、ドライブレコーダーの映像と違っていませんでしたか」と尋ねた。飯塚被告は、5秒沈黙して「う」とうめいた後、さらに3秒だまり、「えー、私の表現が必ずしも正確でなかったかもしれませんが、大筋では違ってないと思いました」と答えた。
 松永さんが「あなたはブレーキを踏んだのは絶対に正しいと認識していますか」と尋ねると、飯塚被告は「はい」と即答した。
 
 さらに松永さんが「電子制御のアクセルとブレーキが同時に壊れたから発生したという主張だと理解してよいですか」と尋ねると、飯塚被告は4秒沈黙した後、「電子制御は時々、不具合が起こることがあって、私どもも経験をよくすることですけど、再起動すると元に戻って正常に機能することがある。そのような事例ではないかと思っています」と述べ、警察による事故後の調査で不具合が見つからなかったことと矛盾しないという趣旨の主張をした。
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